紫原くん、期待させるのはやめてください。

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「 安藤 」

「 昨日は本当に大変申し訳ございませんでした。…だから竹刀はご勘弁！！！ 」


見様見真似の防御態勢を、竹刀を手にしている監督の前で弱気になりながらしている。



「 紫原から事情は聞いた 」

「 …紫原くん… 」

「 うっとりするな… 」


はぁ。と恋する乙女丸出しなのがいけなかったのか、呆れたように監督はため息をついた。


「 …しかしな。日誌くらい５分で出来る。
お前の働きを見ていれば分かる 」

「 す、すみません…あ、でもありがとうございます… 」

「 まぁ昨日の事はもういい。
朝のうちに合宿の日程の確認はするから、それまで準備 」




監督は、朝練の予定をスマートに言いつつ、
私の失態もフォローしてくれた。
…かっこいいなぁ。



あ。紫原くんにもお礼を言わなきゃ。
教室に行ったら言おう。




「 …むぐむぐ 」

「 …紫原くん！おはよう 」

「 んー……昨日の亜乃ちんの言葉にムカついた。見返してやる… 」



ポテチの袋を大事に片手に抱え、一旦口にするのをやめたら衝撃発言。


…どうして亜乃ちゃん？二人の間でどんな会話があったの？

まだ何も知らないのに、何も知らないことに嫉妬して、洗いざらい聞き出したくなる自分は
やっぱりきらい。



「 Aちん、雅子ちんが呼んでるー 」

「 あ。…あ、ありがとう！ 」


私の知らない所で、どうやって紫原くんをやる気にさせたの？

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