紫原くん、期待させるのはやめてください。

Stop 13 ページ13

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夏休み前は一学期の期末テストがあって自習の時間が増える。

つまり。


「 日誌に書くことがない… 」


書くことがないなら、“ 頑張りました ” という文字を大きくかけたならいいけど、書いたところで先生には追い返されるだけ。

部活にも行けないし、自習の内容書いても行は埋まらないし…


時計を見て焦るたび、時間の経過は早くなっている気がする。
…紫原くんとも約束したのに。


「 …喉乾いた… 」


日誌で人生の事を考え込むような時間を持て余すことになるとは。
唸っていてもしょうがないと思い、おもむろに教室を出る。






自動販売機に近い階段まで行くには、いくつもの教室が途中にある。

すると隣の教室も、夕日と教室の電気が混ざった眩しい光で照らされている事に気づく。


「 …綺麗 」




夕日のオレンジも跳ね返すような、美しい紺色の髪を真っ直ぐに伸ばした女の子がいた。

自分の天然で曲がったパーマの茶髪を触ると、なぜだか凄く惨めな気持ちになった。




「 …わっ！え、えっと…先生に用ですか？ 」


扉の前の私に気づき、教室の女の子は何かを書く手を止め、話しかけてきた。
声も落ち着いて、透き通っていて綺麗。


「 あ、えっと…電気ついていたから気になっちゃって… 」

「 …そ、うですか 」


ふふ、とその女の子は麗しく微笑んだ。

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