紫原くん、期待させるのはやめてください。

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起床午前４時。
窓の外もまだまだ、星が散りばめられ、きらきらと光を放つ美しい景色が広がっている。




保存が出来るので、毎年同じように昨日の夜に作り置きをしても良かったけれど、今年のこのイベントは違う。一回りも、二回りも。




“ バレンタイン ” この日に本気を出そうとする時が来るなんて、昔の自分は想像もしていなかった。

なんせ今年は正真正銘、一人だけへのチョコレート。…つまり、本命。



そして、これを渡すと同時に伝えるんだ
「 貴方がずっと好きです 」と。




「 くぁ…ぁ 」


不意に出てくる欠伸に、まだ自分は本気になれてないのかとい自分自身に苛立ち、頬を両手で喝を入れるように叩く。



これ一つで私の今後の高校生活が決まると言っても過言ではないほどに、チョコレートの練習をしてきたのだ。

今更眠気に負けることは出来ない。





好きです、口でも言うつもりだけどメッセージも入れようかな、うーん。重たく感じるかな。

と、彼の事を考えて試行錯誤してしまう私は、自分で言うのも可笑しいが、いつもより数十倍乙女らしいと思う。






「 頑張るから受け取ってね…紫原くん… 」



うとうとと上瞼しと下瞼がくっつきそうになるのを何とか抑え、買いためておいた板チョコをキッチンの上にばら撒く。


彼の名前を突然口に出していたことも、自分では気付かず後から言われて気づいた。

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