4話 ページ4
「うん。おいくら払えばいいですか?」
「あ、いいよ。女の子からは受け取れないし。」
それもなんか。うーん。
「払わせてください。」
「いいからいいから。」
んー、じゃあ、いっか。これ以上しつこくするのもよくないし。
「では、お言葉に甘えて。、今日はありがとうございました。とても楽しかったです。失礼します。」
合コンとか飲み会とかが苦手な理由。
実はそんな難しい話ではない。
シンプルに肌に悪影響を与えるから。
たばこのような意図をせずに肌に影響を与えてしまうものから守るにはそういう場にはいかないということを徹底しなきゃいけない。
もちろん必要な人付き合いはする。飲み会も必要に応じていくけど、心と体と肌の健康のために必要以上に頑張らないことも私にとっては大切。
そう思いながらレストランの中を出口に向かって歩いていると後ろから追いかけてくるような足音がして、
「花咲さん。」
と私の名前を呼ぶ凛とした声が聞こえた。
「羽生さん。どうされました?」
忘れ物はしていなかったはずだけど。
「あの、」
何か言いたげな顔。あ、もしかして。
「安心してください。今日のことは口外しませんから。」
人気者は大変だよね。
イメージとかあるだろうし。
「そうじゃなくて。」
そう言うと、少し覚悟を決めたような顔で、
「連絡先教えてください。」
と私の目を真っ直ぐ見て言った。
聞き間違いじゃないとすれば、
「もしかして研究の相談にのってくださるんですか?」
それぐらいしか理由が見当たらないし。
だとしたら私としてもメリットしかない。
でも、この困惑している顔。もしかして違う理由なのかな?
ー羽生sideー
花咲さんが帰った後、このままもう会えないかもしれないと思うと、居ても立っても居られなくなって、気がつくと、
「ちょっとお手洗いに。」
と言って追いかけていた。
でも、実際に目の前にするのなんて言えばいいのかわからなくて、勇気を出して連絡先を教えて欲しいと言っても、花咲さん鈍感すぎて、理由には気がつかないし。
前途多難かもしれないけど、そういう感覚久しぶりだ。
LINEのアイコンは、花?
花咲さんらしくていい。
「引き止めてすみませんでした。じゃあ、また。」
「また。」
今は全然脈なしかもしれないけど、またって言ってくれた。それだけで今は十分だ。
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作者名:かれん | 作成日時:2022年7月17日 15時