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12*:少女の休日 ページ13

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休日の昼。


私はデパートに買い物し来ていた。

ご飯とか、生理用品とか、その他モロモロ。


別に男装する理由がなかったので
ウィッグも付けず髪を下ろしたまま出掛けた。




それが悪かった。






「A?!」

「ぅゎ…」





どうやら運命とはとても残酷らしい。

デパートの人混みのなか、偶然にも
明星に出会ってしまった。


私服の明星は明星らしい、
元気なオレンジのパーカーを着ている。





「わーAっ!本物だー!」

「ドウモ…」

「ねぇねぇA何してるの?
これからお茶しない??」

「買い物したら帰るつもりですけど」

「むぅー。ねぇAと仲良くなりたい!」

「そうですか」

「ね、少しだけでいいから!
あそこのカフェはいろ?」



強引な明星に負け、私は大人しく
そのカフェに入ってく。


決して新作のデザートを奢って貰える訳ではない。

…断じて違う。




「ねぇAって何組なの?
この前普通科の子に聞いたけどみんな
Aのこと知らないって!」

「あー…頻繁に休んでるからかな」

「そうなんだ〜」







目の前にデザートがあるというのに
明星は口を付けずに質問ばかりしてくる。

私は生クリームをちょっとずつ食べながら
半分適当に答えていた。

甘い。





「そーだ!A今度教室においでよ!
友達紹介してあげる!」

「間に合ってます」

「ホッケーはねー、めっちゃ真面目!
ウッキーはツッコミもボケも出きるんだ!
それでサリーは…」

「ちょっと」



ダメだコイツ。

人の話を聞こうともしない。


むしゃむしゃデザートを頬張りながら
身勝手に話を進める明星を睨み付ける。


彼は私の方を見ずに空中を仰ぎながら
お友だちを思い出してるようだった。


その楽しそうな笑顔が、また和馬にいちゃんと被る。





「あと和馬!」

「…ぇ」


ぱっと私の方を向く明星。

相変わらず楽しそうな笑顔だ。


「和馬はねーちょっと冷たいときあるけど」


常に貴方には冷たくしてるつもりだけど…


「かっこよくて優しくて男前で…」


…え、え。


「俺の尊敬してる人!」





キラキラの瞳がまっすぐに私を見つめる。

きっとAとも仲良くなれるよ!と
笑うから、

はぁそうですか。

と適当に返事して、

また生クリームを口にいれる。




「…あま」






反応に困るんですけど。









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作者名:里小翔 | 作成日時:2016年8月29日 22時

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