[あんスタ]僕と君とであんさんぶる。[短編集]

＃2 ページ32

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『あ、先輩知ってます？
ちーちゃん先輩がかなてぃー先輩と
組体操ごっこしたらしいんですよ。

そしたらかなてぃー先輩、
ちーちゃん先輩おんぶしたまま
噴水にダイブしたんです。

おかしくないですか？

ちーちゃん先輩、怒るよりも先に
自分をおんぶしたまま走ったかなてぃー先輩を
凄いって誉めてて…』



「…」




『それでともやんとてとらっちが
真似してやってみたんですけど。

あのてとらっちでもともやんのこと
支えられなくてですね。


もうヨロヨロで。
そしたらそこにみっつーくんが
突撃してそのまま噴水にドボン！


傑作ですよね〜！』




「…黙れないのか」



『いやだって先輩といたら楽しいんですもん』



「…近所迷惑だ」




ほんとなのになぁ。


先輩ってばいっつもそうやって
私の大事な言葉ほど聞かないフリをする。



『あ、もうここで大丈夫ですよ。
バスに乗って帰りますから』


「そうか」





バス停に到着したのでそう伝えると、
街灯に照らされたけいてぃー先輩は頷く。


が、一向に帰ろうとしない。




『…？何やってるんですか？』


「何って待ってるに決まってるだろ」


『…何をですか？』


「お前がバスに乗るまで…」



そこでけいてぃー先輩はハッ！と顔を真っ赤にする。

そんな赤くなるとこっちまで恥ずかしいんですけど…




「と、いうのは嘘だ！
バスを待つくらい一人で出来るだろ！」


『いやっ！出来ません！
あー頭がズキズキするー！
先輩いなくなっちゃったら私、
倒れても助けてもらえなくて
死んじゃうかもーーー！』


「ぐっ…」




夜道に響く二人の声。


これこそきっと近所迷惑だ。







「…ちっ。仕方ない。
あと五分待って来なかったら俺は帰るからな」





とか言いつつもちゃんと待っててくれるんですよね。


優しいから。






知ってますよ、私。





私が怪我したときに靴箱の中に絆創膏
入れといてくれたのも、

私が勉強で分からなかったらこっそり
頭のいいれーちゃん先輩に勉強教えるよう頼んだのも、



ほんとは今日このあと塾があったのに
サボって私といてくれたのも、



ぜーんぶ、優しいからですよね。









『…だから好きになっちゃうのに』



「…？なんかいったか？」






なんでも。




キョトンとするけいてぃー先輩に
あっかんべーをして、



絶対好きになってもらうんだから。



小さい挑戦状を決意した。





《やんちゃ系女子×クーデレ系男子》



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