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色んな先輩達が、

あの桜の下で写真を撮り合ってる。


千秋先輩なんか、バスケ部と、クラスと、
ユニットと色んなメンバーと撮ってて。

それと引き換えに零先輩とかは日陰を探して
うろついてるし。




今日は卒業式。

あの人と出会った入学式とはめっきり
雰囲気が変わってる。


寂しそうにしてる後輩の私達は
その風景をぼんやり眺めてる。




あ、レオ先輩とかにーちゃん先輩とは
写真撮ったよ。


でもやっぱり…やめよう。
変な期待しても悲しくなるだけだから。




「A?教室戻ろ」

『…うん』



バラバラと生徒は教室に戻って
後片付けをしなければならない。


スバルに呼ばれて桜に背中を向けたとき、
あの人の声がした。




「ねぇ、Aさん。
一緒に1枚、撮らない?」




嘘かと思った。


英智さんが私の名前を呼んでいた。




跳び跳ねた心臓を一度落ち着けて、
さっきまで見ていた桜の下に駆け寄る。




『いいんですか?』

「もちろん」




本当にこの人は桜によく似合う。

外国人みたいな顔なのに…って思ったら
失礼かな。



スーツを着た、多分英智さんの付き添いの人の
合図に合わせてひきつった笑顔を浮かべる。


一度撮り終えると英智さんは私に向き直った。





「ありがとう。呼び止めてごめんね」

『いえ…ご卒業おめでとうございます』

「ふふ…来年は君たちだね」

『あっという間ですか?』

「あっという間だよ」





英智さんは愛しそうに桜の木を撫でる。


サァ、と散る桜の花びら。



あぁ、こういう日だったなぁ。なんて

思い出していた私は口を開いていた。







『知ってますか?
桜の木の下には死体が埋まってるんですよ』






英智さんは目をパチクリさせて、
そのあとおかしそうに笑い出す。






「あっはは…こんな日に言うことかい?」

『す、すいません。その…懐かしくて』





私の言葉にキョトンとする英智さん。


あぁこれは覚えてないな…とがっかりしたけど、
英智さんは嬉しそうに微笑んだ。








「そっか。君も覚えてたんだ」






それを言うなら私こそ。



覚えててくれてたんですか。


あんな一瞬のことを。









『忘れてないですよ。…ていう、
忘れたことないです。


今までも、これからも』







今年もきっと桜はすぐに散る。




けれども貴方が咲かせた桜はきっと
咲き続けるんだろうな。




《一途系女子×優雅系男子》








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#蓮巳敬人→←#天祥院英智



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里小翔(プロフ) - 飛龍さん» あ、私も弓弦大好き星人です笑笑 (2016年8月25日 18時) (レス) id: d058fb1934 (このIDを非表示/違反報告)
里小翔(プロフ) - 紫苑さん» コメントありがとうございます!颯馬くんは口調を何度も迷いながら描いた作品なので不安だったのですがこのようなコメントを貰ったのでホッとしております(笑)ありがとうございました! (2016年8月25日 18時) (レス) id: d058fb1934 (このIDを非表示/違反報告)
里小翔(プロフ) - 飛龍さん» こちらこそこんなに心温まるコメントしてもらってありがとうございます!!嬉しいです!励みにして頑張りたいと思います! (2016年8月25日 18時) (レス) id: d058fb1934 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - 颯馬くんのお話、#1の方では、笑が止まりませんでした……。あの、「ちょんまげと○ザエさんヘアー」のところとか……。でも、#2の最後らへんは、ちょっとキュンってきたりして、すっごくよかったですっ! (2016年8月25日 12時) (レス) id: e5fe38492a (このIDを非表示/違反報告)
飛龍(プロフ) - 弓弦の話にウルッと来ました…。いい子すぎて泣けてきますよホント。素晴らしい作品をありがとうございます!弓弦大スキ星人にとって最高の話でした!これからも頑張って下さいな。 (2016年6月20日 14時) (レス) id: 70d6320d2c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:里小翔 | 作成日時:2016年3月13日 23時

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