[あんスタ]僕と君とであんさんぶる。[短編集]

＃日々樹渉 ページ25

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三奇人で有名な渉先輩はやっぱり変だと思う。

いつも変なことしてるし、喋り方変だし、
かと思えば突然真面目になったり。



先輩という存在はめんどくさいと元々
思ってたけど、渉先輩は特にめんどくさい。



今さらだけど演劇部に入ったことをとてつもなく
後悔している。





「柚木さん！今日もAmazingですよ…☆」


『どーも』


「おや今日も元気ないですね！」


『いつもこんなんですけどね』




そもそもどうして演劇部にしたのだろう。

よく覚えてない。

けど、多分しょうもない理由だったと思う。


特にこだわりはなかったはずだ。








「あ、そうだこれ新しい台本です。
明日までに覚えてくださいね…♪」


『はいはい…って、明日ぁっ？！なんでそんな…』


「実は明日小学校で劇をやるんです。
あ、緊張しなくて大丈夫ですよ。

あなたはいつでもAmazingですから…」



『意味わからないし早すぎるしだぁぁっ！！
それいつ決まったんですか？！』



「today」




キラッと決めポーズを決める先輩。


あぁだめだ。この人絶対だめだ。




額に手を置く。

頭が痛い。


こんな日に限って北斗達も部活から帰ってるし。






試しに1ページ捲ってみる。

うひゃぁ日本語ビッシリ。

ワタシ、ニホンゴ、スキジャナイ。






…ん？


それにしても…









『…役者、私が主人公なんですか？』


「えぇ！」


『…私いつも練習サボってますけど』





まさかのカミングアウトのはずなのに
渉先輩は「問題ありません！」と
にこやかに微笑む。





「台詞は少ないですよ。

それに、貴方にしか頼めないのです」



『は？それってどういう…』









困惑する私に渉先輩がすっと１枚の
プリントを差し出す。


どうやら今回の役者たちで、
私達演劇部部員のほかに助っ人で
R*abbitsのみんなやtrickstarのメンバーも
入っていた。


きっと真白や北斗に頼まれたのかな…と、

私の名前を探して、演じるキャラを

見た瞬間息が止まる。





「え…これって…」




精一杯声を絞り出して渉先輩に質問する。


渉先輩は眩しいくらいの笑顔で恐ろしい
名前を言い放った。









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