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「待って!逃げないで!」



すぐさま立ち上がった私に薫先輩が叫ぶ。

逃げられなくなった私に先輩は安心した
表情を見せてゆっくり寄ってきた。


けれど五メートルくらいのところでピタリと止まる。




「ごめん。謝ってすむ話じゃないのも分かってる。
ただ聞いてほしいことがあるんだ」

『なんの話ですか』




きっと、私が知りたくないことだよね。

「君は遊びだったんだ。勘違いしないでくれ」とか
言ったらトラックで轢いてやる。


そんな意地悪なことを考えてるのを知らずに
薫先輩は話し出した。




「君が怒ってるのも仕方ないよね。
俺は浮気したんだ。

けど…本当は違う。

彼女はその…元カノで。

君に告白する前に別れを頼んだんだけど…



『私とデートしてくれなかったら今の
彼女を酷い目に合わせる』って…」




『…え?』



そんな話聞いたことない。


「俺は…アドニス君や猛犬君と違って弱い。
力も喧嘩も弱い。

どうやって君を守れるのか分からなかった。


…結局君を傷つける結果になってしまった」



『…どうして言ってくれなかったんですか』


「…不安にさせたくなくて」



『なんなんですかっ今さら?!
遊び人と付き合う時点で不安だれけでしたよ!
安心なんかしたことないよ!

いつ捨てられちゃうのかなって…
そればっかり考えてた!


いまさら、いまさら不安にさせたくないとか…

…っどう、して…っっ…』





この男には泣かされてばかり。

薫先輩はなんども「ごめん。」と言ってくれた。



『謝ったって許さないです!
ばか!先輩のばか野郎!
女難で呪われてしまえ!』


「ふっ…うん。そうだね」


『ばかっ…ばかぁぁ…ずっと、…
ずーーーっと、…話したかったぁぁ…』



「うん。うん。俺も。話せて嬉しい」



『ひっぐ……先輩』



「ん?」



『…ウインナー。食べますか。

一本残ってるんで』




残ってるんで、って言うか残してた。


いつかこんな日が来るんじゃないかって

ずっと期待してたから。



薫先輩は嬉しそうにウインナーを口に運ぶ。




「んーーー!やっぱAちゃんの
ウインナー最高!!」


『大袈裟ですよ…』







ねぇ先輩。



こんだけ泣かしてくれたんだから、



責任とって明日も明後日もずーっと





あまってるウインナー、食べてくれますよね?




《直進系女子×遊び人系男子》

#姫宮桃季→←#羽風薫



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里小翔(プロフ) - 飛龍さん» あ、私も弓弦大好き星人です笑笑 (2016年8月25日 18時) (レス) id: d058fb1934 (このIDを非表示/違反報告)
里小翔(プロフ) - 紫苑さん» コメントありがとうございます!颯馬くんは口調を何度も迷いながら描いた作品なので不安だったのですがこのようなコメントを貰ったのでホッとしております(笑)ありがとうございました! (2016年8月25日 18時) (レス) id: d058fb1934 (このIDを非表示/違反報告)
里小翔(プロフ) - 飛龍さん» こちらこそこんなに心温まるコメントしてもらってありがとうございます!!嬉しいです!励みにして頑張りたいと思います! (2016年8月25日 18時) (レス) id: d058fb1934 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - 颯馬くんのお話、#1の方では、笑が止まりませんでした……。あの、「ちょんまげと○ザエさんヘアー」のところとか……。でも、#2の最後らへんは、ちょっとキュンってきたりして、すっごくよかったですっ! (2016年8月25日 12時) (レス) id: e5fe38492a (このIDを非表示/違反報告)
飛龍(プロフ) - 弓弦の話にウルッと来ました…。いい子すぎて泣けてきますよホント。素晴らしい作品をありがとうございます!弓弦大スキ星人にとって最高の話でした!これからも頑張って下さいな。 (2016年6月20日 14時) (レス) id: 70d6320d2c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:里小翔 | 作成日時:2016年3月13日 23時

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