[あんスタ]僕と君とであんさんぶる。[短編集]

＃乙狩アドニス ページ17

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『アドニスうぅーーー！！』

「ん？どうしたんだ、転校生」



彼の袖をぶんぶん振れば、
アドニスはキョトンと?マークを浮かべてる。


つい先週転校してきた私はアドニス君に
一目惚れしてしまった。

初日からいきなり「肉食え」と言われて
どうしようと思ったけど、
彼なりの優しさとか、真面目なところとか、

色々が好きなのだ。


あとまぁ顔も好み、っていうのもある。



そこで私なりに雑誌やネットで調べて
アドニス君に好きになってもらおうと
さっきから色々やってるんだけど…



例えば『上目遣い』。

ちょっと眉をよせて困った顔をして
見上げるらしい。


やってみたあとの彼の反応。



「どうした？肉が欲しいのか？」



…私は肉をせがむ猛犬か。


そんな感じで呆気なく失敗。


もう１つは『名前呼び』。

こちらはなんのキュンもなく撃沈。

よく辺りを見渡してみれば、
みんな『アドニス』って呼んでるし
むしろ『乙狩』のほうがキュンなんじゃないか。



そして、『袖引っ張り甘え』作戦も
たった今失敗したところだ。


はぁ…

こんなにやってんのにキュンもないなんて
私、女の子としてさえ見られてないんじゃないかなぁ…




どうやったら君はキュンするんですか。






さっきまで握ってた彼の裾をそっと離す。

相変わらずキョトンのアドニス。

キョトニスめ。





「転校生、用は？」

「ありません…強いて言うなら
転校生じゃなくてAって呼んでもらえますか」

「A」

『っ！！も、もう一回！！』

「…A？」



名前呼び！

目標１つクリア！！

嬉しいなぁーーーっ…




「？？嬉しそうだな」

『うん！だってアドニスに名前で
呼ばれたの初めてだもん！』

「そうだったか」

『私はずっとアドニスって呼んでるのに。
アドニス、反応なかった』

「…そうだったか？」

『うん。ちょっとくらいさぁ』






「…俺は、Aに呼ばれて……」



『え？』








小さな声で何か言ったから

よく聞こえなくて。


歩み寄ったその瞬間だった。









「っあぶない！！！」









ガシャン！と何かが割れる音とともに


隣にあった窓が勢いよく砕け散った。









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