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痛い痛い痛い腕が千切れるあああああ
晃牙に引っ張られてなんとかたどり着いたのは
学校の裏にある小さなベンチ。
晃牙の足もピタリと止まる。
『ちょっと晃牙ぁー。腕めっちゃ痛いんだけどぉ』
「…の……かよ」
『え?』
聞こえない…と思って寄ったその時、
晃牙がばっと振り返ってきたものだから、
一気に急接近。
やばい怒られる…なんて思ったけど
全然怒らないしむしろ距離が縮む一方。
『え、え、…その、…?』
「あの吸血鬼ヤローと付き合ってんのかよ」
『…なんで?』
「…いちゃいちゃしてたんだろ」
してないよ。
ばかだなぁ晃牙。
いつもなら笑って返してるのに、
出来なくなってしまった。
『…晃牙』
「俺、嫌なんだよ。なんでかわかんねぇけど。
お前が他のやつと一緒にいるとこ…見たくねぇんだ」
それって…
…いや、鈍感な晃牙が自覚してる訳がない。
あーあ。やっかいな幼なじみに恋してしまっていたようだ。
『…晃牙は昔から私の傍にいてくれたよね』
「…おう」
『これからも一緒にいてよ』
「…当たり前だろ」
うん。
これでいい。
私達幼なじみはこれくらいが丁度良いの。
「…え?結局付き合ってんのか?」
『んなわけないでしょー。
あれは零先輩の冗談なんだから。
っほんっとに晃牙は…』
バカだなぁ。
私の言葉に被せるように晃牙か呟く。
.
.
「…よかった」
見たことないくらい優しい顔をしていた。
不覚にもドキッとしてしまう。
『〜〜〜っ晃牙ばかだなぁ!
ほんとにアホだね!』
「はぁっ?!うるせぇなちんちくりんに
言われたくねぇわ!」
『ちんちくりん?!零先輩より身長
小さいくせに!!』
「関係ねぇだろ吸血鬼ヤローは!!
あああっ腹立ってくるっっ…!!!」
とうとう怒りの矛先を零先輩に向けた晃牙。
うん。今はこれでいいの。
いつか晃牙が「恋」に興味を持ってくれたら、
その時は幼なじみから一歩、進んでみよう。
未だにうおおおお!と地面に叫んでる
晃牙の背中に私は声をかけた。
『ね、一緒に帰ろ』
振り返った晃牙はうすく笑って
返事をしてくれた。
《わんこ系女子×鈍感系男子》
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里小翔(プロフ) - 飛龍さん» あ、私も弓弦大好き星人です笑笑 (2016年8月25日 18時) (レス) id: d058fb1934 (このIDを非表示/違反報告)
里小翔(プロフ) - 紫苑さん» コメントありがとうございます!颯馬くんは口調を何度も迷いながら描いた作品なので不安だったのですがこのようなコメントを貰ったのでホッとしております(笑)ありがとうございました! (2016年8月25日 18時) (レス) id: d058fb1934 (このIDを非表示/違反報告)
里小翔(プロフ) - 飛龍さん» こちらこそこんなに心温まるコメントしてもらってありがとうございます!!嬉しいです!励みにして頑張りたいと思います! (2016年8月25日 18時) (レス) id: d058fb1934 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - 颯馬くんのお話、#1の方では、笑が止まりませんでした……。あの、「ちょんまげと○ザエさんヘアー」のところとか……。でも、#2の最後らへんは、ちょっとキュンってきたりして、すっごくよかったですっ! (2016年8月25日 12時) (レス) id: e5fe38492a (このIDを非表示/違反報告)
飛龍(プロフ) - 弓弦の話にウルッと来ました…。いい子すぎて泣けてきますよホント。素晴らしい作品をありがとうございます!弓弦大スキ星人にとって最高の話でした!これからも頑張って下さいな。 (2016年6月20日 14時) (レス) id: 70d6320d2c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:里小翔 | 作成日時:2016年3月13日 23時