[あんスタ]僕と君とであんさんぶる。[短編集]

＃大神晃牙 ページ15

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「ほほぅ、Aは本当に礼儀の
良い子じゃ。ほれ、おいで」

『わーい！』



私が零先輩のもとに駆け寄ると、
零先輩は私の頭を優しく撫でてくれた。



ここは軽音部の部室。

本当は幼なじみに用があってきたんだけど、
部室にいたのは零先輩と楽器だけ。



待ってる間にお話をしていたら
すっかり仲良くなってもらえた。




『零先輩やさしいー♪』

「そうかのぅ。Aは…
そうじゃな。わんこのようじゃ」

『わんこ？わんこだったら…』



と、口を開きかけた瞬間物凄い音を
立てながら部室の扉がぶち開けられた。

扉の先に立っていたのは、私の幼なじみ。




「ハァッ…ゼェ…こんの吸血鬼ヤロー…！！」



晃牙はずかずか入ってくると鼻息を荒くして
びしりと零先輩を指差す。



「テメェ！昼休みに呼んで人待たせておいて
なにやってんだよ！！」


キーーーンと頭が痛くなりそうで、
これには私も零先輩も耳をふさぐ。


「のうわんこよ。もう少し静かにしてくれぬか。
わんわん吠えてても構ってはあげられないぞ」


「構えなんざぁ一言も言ってねぇだろうが！
何してたんだよ！！」

「ん？それは…そうだな。Aと
いちゃいちゃをしていたのだよ。のぅ？」

『いちゃいちゃまではいかないですけど…』

「んだとてめぇ…」

『え、ちょっと？』





晃牙は私に一切目も向けず、
零先輩をぎろりと睨み付ける。


けれども零先輩も晃牙を無視して私の体を
よっこいせと持ち上げて自分の膝の上に置く。



『…ってわぁぁ？！ちょ、近いですよ！』

「なんじゃなんじゃ。さっきの続きをしようと
思ったんじゃが…」

『つ、続き？こんなのやってましたっけ？！』



「あ"あ"あ"あ"あ"あ"くっそ！！！！！」




突然晃牙が大きな声を出したかと思うと
私の腕をぐいっと引っ張って部室を飛び出した。



なんとか振り返れば零先輩がにこにこ笑って
手を振っている。





「腹が減ってるオオカミは何するかわからんぞ…」






怪しく囁いた声が唯一最後に聞こえた声だった。









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「ふむ…若いのう。…しかし、
部室の扉を壊したまま行くなんて、



まだまだわんこにはしつけが必要じゃな。


…まぁご褒美を貰ってから、としよう」









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