検索窓
今日:20 hit、昨日:2 hit、合計:178,182 hit

#葵ゆうた ページ13

.






私には好きな場所が2つあります。


1つは自分の部屋。

そしてもう1つは…





『いらっしゃいませ〜』




アルバイト先の、このファミレス。

特別人気でもなく不人気でもなく、
ほどほどのお客様と無理のないシフトが
本当に気に入っている。



…軽く悪口かもしれないけど。

それでもバイト仲間も店長も気さくで
話しやすくてみんな大好きだ。



…それと。







「ほら、Aちゃん。来てるよ、彼!」



きゃっきゃっとはしゃぎながら
同い年のバイトちゃんが厨房に入ってきた。


いや、注文は…と思ったそのとき
ピンポーンと呼び出し音が鳴る。



「あ、彼のテーブルですよ!Aちゃん
よろしく!」

『え。いや…』

「大丈夫!連絡先聞いてきなって」



バイトちゃんは私にウインクをして
キッチンの方へ行ったしまった。


お客様を待たせるわけにはいかないし…

なんて言い訳してテーブルに向かった。


うわぁぁぁ緊張する…




呼ばれたテーブルに向かえば、
オレンジの髪の少年がメニューを広げて
熱心に見つめていた。


が、私に気づくとキョトンと目を丸くする。




「え?」

『いやあの…ご注文をお伺いに…』

「俺、呼んでないですよ?」

『え?』



慌てて確認してみれば呼んでいたのは隣のテーブルの人。

じとーって、見てきてたから冷や汗がぶわっと吹き出る。



『わぁぁごめんなさいっ!失礼しました…』

「あはは、大丈夫。気にしないで」



ううぅ…お客様が優しいよぉ。

それにしても…バイトちゃんのせいで、
っていうと悪いかな。

でも恥ずかしい失敗をしちゃった。
もう注文聞きに来れません。




赤面してるであろうほっぺを叩いて
隣のテーブルの注文を聞いていく。

全て聞いて、もう一度頭を下げればまたピンポーンと
音が鳴る。



なんと先ほどの少年で、にこにこ笑いながら
私に手を振ってくれていた。

きゅっとオーダーを握り、テーブルに向かう。



『は、はい…』

「激辛スパゲッティくださーい。あ、あと
ウーロン茶で!」

『わかりました』

「あとさ」

『?』






少年はメニューを見つめながら話してくる。


ほんのり、彼の頬が赤い気がした。









.

#2→←#2



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (96 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
191人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

里小翔(プロフ) - 飛龍さん» あ、私も弓弦大好き星人です笑笑 (2016年8月25日 18時) (レス) id: d058fb1934 (このIDを非表示/違反報告)
里小翔(プロフ) - 紫苑さん» コメントありがとうございます!颯馬くんは口調を何度も迷いながら描いた作品なので不安だったのですがこのようなコメントを貰ったのでホッとしております(笑)ありがとうございました! (2016年8月25日 18時) (レス) id: d058fb1934 (このIDを非表示/違反報告)
里小翔(プロフ) - 飛龍さん» こちらこそこんなに心温まるコメントしてもらってありがとうございます!!嬉しいです!励みにして頑張りたいと思います! (2016年8月25日 18時) (レス) id: d058fb1934 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - 颯馬くんのお話、#1の方では、笑が止まりませんでした……。あの、「ちょんまげと○ザエさんヘアー」のところとか……。でも、#2の最後らへんは、ちょっとキュンってきたりして、すっごくよかったですっ! (2016年8月25日 12時) (レス) id: e5fe38492a (このIDを非表示/違反報告)
飛龍(プロフ) - 弓弦の話にウルッと来ました…。いい子すぎて泣けてきますよホント。素晴らしい作品をありがとうございます!弓弦大スキ星人にとって最高の話でした!これからも頑張って下さいな。 (2016年6月20日 14時) (レス) id: 70d6320d2c (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:里小翔 | 作成日時:2016年3月13日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。