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#葵ひなた ページ11

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サラサラの明るい色をした髪は

彼のヘッドフォンの色とよく似合ってる。


ガタンゴトンと揺れる電車のなかでわたしは

いつもそう思う。


あの有名な夢ノ咲学園の制服を身にまとった

少年は毎朝同じ車両に乗っている。


彼にとって特等席らしいドアの前で

いつもヘッドフォンをして音楽を聴いていた。




『どんな曲聴いてるのかな…』




気になるけど、喋りかける勇気も出ず。

誰か聞いてくるないかなぁ…なんて甘い妄想。



と、その時ある駅で電車が止まった。

いつもは無人駅だったのに、私のいる
車両の前でおばあちゃんが待っていた。



とっさに席を開けるため立ち上がる。


おばあちゃんはにこにこしながらお礼を

言ってくれて、私も笑顔で返事した。



…あ、今ヘッドフォンの少年がこっち見てた。


何か言おうと口を開きかけたが、

すぐに窓に向き直られたから呆気なく撃沈。


まぁ、そんな上手くいかないよね…。






…どんな人なんだろ。


優しいのかな。クールなのかな。

意外にヤンキーみたいに怖いとか?

アイドル目指してるからかっこいいけど、

本当は私みたいに読書が好きとか…


ないな。なんとなくだけど。



ははは…と内心苦笑した時、

突然、低い声がした。





振り替えればあのオレンジ髪の

ヘッドフォンの少年が、



近くに座っていたおじさんの手首を

掴んでいる。


おじさんは痛さに耐えるかのように

表情が苦しそうに歪んでいた。



え?まさか本当にヤンキーみたいな…?

さっそく乗客に絡みにいったみたいな…?


ど、ど、どうしよう。





しかし、おじさんの手にもっていた

スマホを見てなんとなく察してしまった。




オレンジの髪の少年は一度私を

見つめてから、おじさんを冷たい目で見据える。









「おじさん。盗撮はだめって習わなかった?

次の駅で降りてよね…あ、やっぱ

あの子の駅まで来てよ。遅刻しちゃうし」







こんな少女漫画に出てくるような

場面って、ありなのか…




ドキドキと弾む心音が私をもっと熱くさせた。









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#2→←#2



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里小翔(プロフ) - 飛龍さん» あ、私も弓弦大好き星人です笑笑 (2016年8月25日 18時) (レス) id: d058fb1934 (このIDを非表示/違反報告)
里小翔(プロフ) - 紫苑さん» コメントありがとうございます!颯馬くんは口調を何度も迷いながら描いた作品なので不安だったのですがこのようなコメントを貰ったのでホッとしております(笑)ありがとうございました! (2016年8月25日 18時) (レス) id: d058fb1934 (このIDを非表示/違反報告)
里小翔(プロフ) - 飛龍さん» こちらこそこんなに心温まるコメントしてもらってありがとうございます!!嬉しいです!励みにして頑張りたいと思います! (2016年8月25日 18時) (レス) id: d058fb1934 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - 颯馬くんのお話、#1の方では、笑が止まりませんでした……。あの、「ちょんまげと○ザエさんヘアー」のところとか……。でも、#2の最後らへんは、ちょっとキュンってきたりして、すっごくよかったですっ! (2016年8月25日 12時) (レス) id: e5fe38492a (このIDを非表示/違反報告)
飛龍(プロフ) - 弓弦の話にウルッと来ました…。いい子すぎて泣けてきますよホント。素晴らしい作品をありがとうございます!弓弦大スキ星人にとって最高の話でした!これからも頑張って下さいな。 (2016年6月20日 14時) (レス) id: 70d6320d2c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:里小翔 | 作成日時:2016年3月13日 23時

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