貴方に送る花はまだ。[朔間凜月]

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さくまりつき君。


すぐに覚えた。

花の名前を覚えるのも得意だからかな。


あ「どうやって書くの？」

凜月「……これです」


さすがに紙を出して書くのはめんどくさかったのか、

朔間君は鞄から一冊、教科書を取り出して名前を見せてくれた。


あ「へぇ！『朔間凜月』君って書くんだ！
綺麗な名前だね！」

凜月「そう？」

あ「うん！なんかピッタリ！」



ちょっとありきたりの言葉を選びすぎたかな？

でも本当に思ったから仕方ないよね。


嘘ついてるなーって疑われたら残念だけど。



凜月「.…ども」



朔間君はなんだかよそよそし始める。

やっぱり嘘ついてるなーって思われちゃったかな？



あ「……って、え？朔間君『夢ノ咲学園』の
生徒さんだったの？」

凜月「あぁ、知ってるんだ」

あ「知ってるもなにもお得意様だよー！
いっつもお花買ってくれるからね！」



やけに熱く語りそうになり、思わず口を塞ぐ。

朔間君ほちいさく首を傾げた。


凜月「……どうしたの？」

あ「ご、ごめんね熱く語って……うざかったよね」

凜月「はぁ？」



やけに大きな返事に体が強ばる。

ザザザザッと頭を過るのはやっぱり雨の日の事で。


また嫌われてしまう。


怖くて何も言えなくなった。




その時、はぁ.…と朔間君のなんだか優しいため息が聞こえる。



凜月「別にうざくないから。

……むしろ、途中で止められる方がムカつく」


あ「ええっ」



ムカつくと言われて気を悪くされたかと思ったけど

どうやら違うらしい。


朔間君はさっきみたいに微笑んでくれていた。



凜月「そうだ.…あのさ、ぽぴぃの花言葉ってなに？」

あ「ポピー？」

凜月「そう……友達で花言葉知りたがってる人がいるから」

あ「えー！その人気が合いそう！」

凜月「……はやく」

あ「え、ああうん……」





急にむっとした朔間君はすかさず返事を要求。

喜怒哀楽が小さいけれど分かりやすい。




あ「ポピーの花言葉はね、


『恋の予感』、だよ」


凜月「.…鯉？」

あ「魚じゃなくてね、こっちの『恋』」



私はそう言うと胸の前でハートマークを

作ってあげる。


すると朔間君はびっくりしたように

目を見開くと大きくてしっかりした手を

口元に持っていき、そのまま口を塞いだ。


ほんのりと顔が赤い気がする。


予想してた答えと違ってビックリしちゃったのかな？





凜月「.…そういうことか」

あ「え？」

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