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レトロなイメージなのだろう。


店の奥の、多分スタッフルームに

座らせられた俺は気づけば店員さんと二人きり。


あ「それで話って?」


やっぱ聞くよね.…。


わざわざ店の奥まで来て聞いて良いことなのだろうか。

いや、実際さっきまでいた女の人に連れ込まれたんだけど。



それでもいざ話そうと思うと本当にいいのか、

迷ってしまう。


なかなか言い出さない俺に彼女は

文句も急かすような言葉も言わずただ待ってくれていた。




.…なんとなく、心が許せたのか俺はようやく口を開く。

むしろもう捨て身だった。

どうにでもなれ。



凜月「.…アンタの名前、なに?」

あ「名前?」



気づいたときには時すでに遅し。


店員さんはびっくりしたように

目を見開いて俺を見つめていた。



何を聞いてるんだ俺は。


ここまで自分を殴りたくなったのは初めて。


怒りと焦りと、あとはもう羞恥心で

今すぐ席を立ちたい。


ぽぴぃの花言葉を聞きに来たのになんで

名前を聞いてるんだ。


完全に怪しい人。最悪。



凜月「ぁの、やっぱ……」


あ「波名Aです!」



俺が隣に置いていた鞄を持ったその時、

彼女は突然そういい放った。


初めは誰に言ったのかわからなかった。

だって俺の方を見ずにテーブルに向かって叫ぶから。


しかし暫く立つとようやく顔を上げて俺を確認してる。


耳まで真っ赤にして上目遣いで見てくるから

思春期に入ったのか、終わったのか分からない

俺の胸は簡単に弾んだ。



そして、年上のはずの彼女をなんだか可愛いと思ってしまう。

失礼だろうか。



俺はもう一度座り直し、正面から彼女を見つめ直す。







大きくて、くりっとした瞳。

柔らかそうな髪の毛。

仄かに香る花の匂い。






まるで外国の絵画から出てきた人のよう。

俺はたまらず笑顔を溢してしまった。






.







.








.








.









凜月「.…朔間凜月です。よろしく、波名さん」






.









.








この時『Aさん』と呼ばなかったことに

少し後悔したのはまぁ秘密ってことで。









.

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里小翔(プロフ) - ちほさん» ありがとうございます!いえいえ、教えて頂いてとても助かりました!一応直してみたんですがどうですかね…?確認お願いします(>_<)嬉しい感想もありがとうございました!!! (2015年10月3日 19時) (レス) id: 78e56a3429 (このIDを非表示/違反報告)
ちほ - とても感動したし面白かったのですが、凛月の読み方?がりつじゃなくりつきになっていたのとKnightsがKingsになっていたのが気になりました…私なんかがすみません!でも素敵な作品でした!!( ; _ ; ) (2015年10月3日 16時) (レス) id: e2c5171782 (このIDを非表示/違反報告)
里小翔(プロフ) - 神崎コノハさん» おおおぉーーー!!かなり見えてますね!!恋の花束ってとてもロマンチックですね!ありがとうございました!! (2015年9月27日 21時) (レス) id: 78e56a3429 (このIDを非表示/違反報告)
神崎コノハ(プロフ) - ちなみに私は恋の花言葉を詰めた花束をプレゼントするはなさんまで見えましたね(キリッ)凄い良いお話でした!お疲れ様でした! (2015年9月26日 20時) (レス) id: 0f2f2435c8 (このIDを非表示/違反報告)
里小翔(プロフ) - ユナインさん» 本当ですか?!ありがとうございます!!書いて良かったです(о´∀`о) (2015年9月18日 23時) (レス) id: 78e56a3429 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:里小翔 | 作成日時:2015年8月18日 21時

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