貴方に送る花はまだ。[朔間凜月]

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凜月君達のライブは

大成功に終わった。


どこのユニットよりも凜月君達が

一番カッコいいと思ったけど

どうやらfineというユニットが一番だったらしい。



あ「それにしても凜月君ってステージだと
ああいう風に笑うんだね」

凜月「.…もうやめてください」

あ「ダンスもキレキレだし歌も上手だし.…
まさか凜月君の中身違う人だったりする？」

凜月「バカにしてるの？」

あ「ごめんなさい」





そして噴水のある裏庭にて。

私は奏音ちゃんに頼んで凜月君をよんでもらった。


ベンチに並んで座ってみると

昔の事をよく思い出す。



凜月君の隣はいつも安心出来るから好きだ。





あ「あのさ、私、凜月君に話さなきゃいけないことあって.…」

凜月「.…俺も」



その言葉に思わず真っ正面から

凜月君の顔を覗いてしまう。


凜月君は「先どうぞ」といってくれた。







あ「.…私の元カレと別れた話、なんだけどさ」

凜月「うん」





噴水が大きく飛沫を上げて水を落下させていく。


思い出すのは嫌だけど、なんだか凜月君だけには

聞いてほしかった。



そして言いたいこともあったのだ。








あ「私ね。お花の話になると熱中して
止まらなくなるでしょう？」

凜月「うん」

あ「元カレにはそれがうざかったらしくてさ。
だから自分の話を誰かに話すのが怖く
なっちゃって」

凜月「.…」

あ「だからあの時、凜月君が
『最後まで話して』って言ってくれたとき
嬉しかったの」

凜月「.….…そ」

あ「だからね、凜月君」







ずっと膝だけを見つめて話してたけど、

私は顔をあげて凜月君を見つめる。


赤い綺麗な彼の瞳に私が映った。









.









.









.









.









あ「ありがとう」









.









.









凜月君は恥ずかしそうに、でも微笑む。

その優しい笑顔に胸がぎゅってなる。


苦しくない、むしろ居心地のよささえ感じてしまう。




ありがとう、だけじゃない。

もっと、言わなきゃいけないことがある。




大事な、大事なこと。






あ「それでね」

凜月「.…？」

あ「傘の事なんだけど.…」







傘の話を持ちかけたとたん、

突然凜月君の表情が固くなった。

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