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【スターチス】途絶えぬ記憶 ページ2

燦々と降りかかる日光。



如雨露(じょうろ)から流れる水が

太陽に反射して小さく虹を作る。






じめじめと濡れはじめる土をぼんやり眺めてると

あの日の記憶が蘇ってきた。









あの雨の日。


あんなに雨の音が煩く感じたのは

始めてだった。


今でもあの日の雨の音が耳の奥で時々聞こえてくる。









あ「.…って、だめだめ。気持ち下がったら花が可哀想!」






なんとか嫌な気持ちを振り払おうと

頭を横に振って顔を上げる。









その丁度前にいつのまにやら男の子が

じっと疑わしげに私を凝視していた。






制服からして高校生くらいだろうか。







眠たそうな赤い目が綺麗で私の方が彼を見つめてしまう。









……チューリップ?かな。

そんな感じの色をしている。









?「.…なに」

あ「へっ?あ、うぅん.…」









あんなにガン見したら失礼に決まってる。

男の子はさらに眉を寄せていた。









あ「ごめんなさい、失礼しましたっ」








慌てて頭を下げてみると、男の子は「それなに」と

手元に咲いてる花を指差す。








あ「……あ、ポピーのこと?」


?「ん。それ。綺麗」


あ「だよねっ!そうだ、1つあげる!」


?「なにそれ営業やってけるの?」


あ「大丈夫!沢山お客さん来てくれるし!」








私は小さい植木鉢に花を移して素早くビニール袋に

いれると店前に待ってた男の子に渡してあげた。









男の子は一瞬めんどくさそうな顔をしたが

やがてビニールのなかに入ってる花を見つめると

ふっと優しい笑みを浮かべる。









あ「.…可愛がってあげてくださいね」


?「ん」









やっぱり男の子は無愛想で。

笑ったのなんてそれっきり。









だけどなんとなく、

その子の一つ一つの表情が温かくて、









歩いてく彼の背中がやけにかっこよくて。







あ「……母性本能?」









よくわからない気持ちが小さく芽を出していた。

・・・→←「人物紹介」



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里小翔(プロフ) - ちほさん» ありがとうございます!いえいえ、教えて頂いてとても助かりました!一応直してみたんですがどうですかね…?確認お願いします(>_<)嬉しい感想もありがとうございました!!! (2015年10月3日 19時) (レス) id: 78e56a3429 (このIDを非表示/違反報告)
ちほ - とても感動したし面白かったのですが、凛月の読み方?がりつじゃなくりつきになっていたのとKnightsがKingsになっていたのが気になりました…私なんかがすみません!でも素敵な作品でした!!( ; _ ; ) (2015年10月3日 16時) (レス) id: e2c5171782 (このIDを非表示/違反報告)
里小翔(プロフ) - 神崎コノハさん» おおおぉーーー!!かなり見えてますね!!恋の花束ってとてもロマンチックですね!ありがとうございました!! (2015年9月27日 21時) (レス) id: 78e56a3429 (このIDを非表示/違反報告)
神崎コノハ(プロフ) - ちなみに私は恋の花言葉を詰めた花束をプレゼントするはなさんまで見えましたね(キリッ)凄い良いお話でした!お疲れ様でした! (2015年9月26日 20時) (レス) id: 0f2f2435c8 (このIDを非表示/違反報告)
里小翔(プロフ) - ユナインさん» 本当ですか?!ありがとうございます!!書いて良かったです(о´∀`о) (2015年9月18日 23時) (レス) id: 78e56a3429 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:里小翔 | 作成日時:2015年8月18日 21時

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