乗っ取り21 ページ22
一瞬で場が凍る。
極になったといっても、普段から無口で温厚なあの鳴狐が
自分の身内に刃を向けようとしている。
それがどれだけ大変なことか・・・粟田口全員が察したようだった。
「だ、ダメですぞ鳴狐!本丸内での抜刀は・・・!!」
『鳴狐、そこまですることはない!一期だってちゃんと話せば分かってくれる!』
「いえ、何を言われたところで考えを改めるつもりはありません。貴方は見習い殿と弟達に手を出した。それは揺るがない事実です」
・・・ああ、そういうことか。
やっと理解した。
こうなれば私ができることは何もない。
一期一振の言う通りにするしかないのだ。
『・・・・お前の言う通りにするよ。それでいいんだろう?』
「ええ。分かってくださればいいのです」
「俺は反対だぜ!いち兄がなんと言おうと俺は大将のそばにいる!」
「当然です。脅しでもない、これは己の意志ですから」
「大将のほうが優しい霊気持ってるしな。あんたのは濁りきってる」
「見習いなんて・・・大将を傷付ける奴なんて大っ嫌い!!」
「ぼ、僕もあるじさまと一緒にいます!」
「僕も僕も!」
「一生主君に仕えると誓った身。その誓いは決して破りません」
「主君を傷付ける人間などに仕えたくはありません」
「その人と居たら、小さい子が虐められちゃいますから!」
「あるじさんを侮辱したことは一生許さない・・・呪ってやるから」
「俺の頬を叩いたことも忘れねぇからな。寝首を搔かれないよう気をつけな」
『お前達・・・・。・・・ありがとう。もう行こう。これ以上話しても喧嘩になるだけだ』
去る前に、すみません、と優しく声をかけられる。
『一期?』
「・・・・絶対に、何があっても弟達には手を出さないでください」
『分かってるよ』
「それと・・・二か月間、見習いには一切近付かぬようお願いいたします」
『・・・ああ』
今度こそ、私たちは別れた。
しばらくして・・・・短刀達が伏せていた顔を上げた。
.
.
.
「ねぇみんな見た!?あの見習いの勝ち誇ったような顔!傑作だよね!」
「かんちがいもほどほどにしてほしいですね、まったく!」
「それにしても俺達の演技完璧じゃね?演者になれるぜ!」
「いち兄もとっても演技上手かったです・・・!」
『お前達ホント元気だな・・・・』
まぁ、弟達も楽しそうだし・・・
仕方ないから、お前のシナリオ通りに演じてやるよ。一期。
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いぶき(プロフ) - 続きが気になります! (2022年9月11日 15時) (レス) id: d775cce176 (このIDを非表示/違反報告)
akithin.(プロフ) - 更新は、もうされないのでしょうか? (2020年7月9日 2時) (レス) id: e324714dd9 (このIDを非表示/違反報告)
アニオタちゃん - 更新、頑張ってください! (2019年12月8日 21時) (レス) id: 8da926b67e (このIDを非表示/違反報告)
アニオタちゃん - なんかこの作品好きだわ....w (2019年12月8日 21時) (レス) id: 8da926b67e (このIDを非表示/違反報告)
白猫(プロフ) - 面白かったです!がんばってください、応援してます! (2019年9月24日 19時) (レス) id: 84c6b64b23 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みかづち | 作成日時:2019年8月28日 17時