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「ただいまー」
元カレと同棲していた頃ならただ一方通行な帰宅の合図だったのが、
「おかえりー」
待っている人がいるって凄く懐かしいなと思った
「どうした？疲れとん？」
朝と同じ芋ジャージの上に私のエプロンを付けて、手にはフライパンを持ったまま、玄関で靴を脱ぐ私に歩み寄ってくる康二
えらく心配そうな顔をしていたから、ちょっと無理して笑顔を作った
「今日も電話きた」
「また！？それ、ちゃんと上の人に言うたん！？」
「いい、いい。それより、今日の晩ご飯何？」
話を反らしつつ、玄関に来た康二の横をすり抜けてダイニングに向かう
後ろからは康二の足音
足元に乱雑に荷物を置いて、康二専用と化しつつあるソファに横になった
「なあA、誤魔化さんといて」
私の側までやってきて、上から見下ろしてくる康二の表情は、頭上のライトが逆光になって上手く見えなかった
ただその声色は、私達が幼かった頃を思い出させた
だから私は幼い康二を安心させるように、大丈夫って繰り返す
「ただの無言電話。何か危害が加わるんだったら自分もそれなりに対処するから。康二が気にする程じゃないよ」
いつもの流れで、ここに落とし込めば康二は何も言わなくなる
そっぽを向いた康二は、しばらく思案してからキッチンへ向かった
「今日の晩ご飯は生姜焼きやで」
遅れてきた返事に、うんってぶっきらぼうに返した
最近って言ってもここ2週間くらい
決まった時間に非通知番号からクレーム対応用、つまり私のところに無言電話が掛かってくるようになった
最初は普通に怖くて、リーダーだったり部長にまで話を流したのに、まあよくある事だよって流されて
ただ毎日のように続く無言電話に日々のちょっとした精神的なところが確実に削られていって
私は何故か康二にそのことを話していた
何の解決の糸口にもならないことは分かってるのに
康二は本気で心配してくれて、本気で悩んで、本気で怒ってくれた
あー、これを求めてたんだろうなって、ワガママな自分が言っていた
それからはちょっと心が楽になって、その分の余裕が無言電話に対する自分の心持ちも変えた
特にストーカーぽい人と会ったとかどうのこうのなく、最近ではまたかーくらいに流せるようになっていたし
ただそんな悠長に構えている自分に、康二はずっと心配してくれていた
自分が言ったのもあれだけど、早く康二を安心させたい気持ちもある
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なむる。(プロフ) - 愛しい愛しい康二の可愛さ、伝わって本当に安心してます笑 自分も書いててこのシーンは筆が乗りました← ありがとうございます！ (2020年9月16日 7時) (
レス) id: 74f22f9e0f (このIDを非表示/違反報告)
雪の王子様 - 居座ってやる！って意地張るくせにそこのワード間違っちゃってるとことかすごい康二らしい(笑)元カレの鳩尾にクリーンヒットはすっきりしました！← 今回も素敵なお話ありがとうございました。 (2020年9月16日 2時) (レス) id: a501c8742d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なむる。 | 作成日時：2020年8月6日 21時
