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「迎え、来たで」
12月の暮れ
夜更けの時間に突然インターホンが鳴り、ドアを開けた先に居たのは康二だった
鼻を赤くして、口から白い息を吐き出した姿はついこの間まで毎日のように見ていたのに
急にこうして目の前に現れると自分がまるで放浪人のような気になった
そして、その言葉の意味を考える前に、康二の冷え切った手がふいに自分の手首を掴んだ
「えっ、ちょっ…」
「分かっとったやん。俺、泣いたで」
そんなこと言って泣きそうな顔をするから、無意識にごめんって小さく呟いた
康二は誤魔化すように顔を振り、その重たい前髪が真ん丸な瞳を隠す
「なぁ、帰ろうや。俺のこと、一人にせんでや」
そう言う康二の声は小さく震えていた
いっつもそうだ
康二はそうやってゴネて、私が折れる
でも、自分がここに居るって決めた以上、今回ばかりは折れるわけにもいかないから
「無理だよ、康二。私、帰れない」
私の手首を掴む康二の手が、徐々に温かみを持つ
その力は強く、いつまでも自分の手首を解放する様子はない
「ねぇ康二、お願い。私達…友達じゃん？応援してよ」
つくづく自分がズルいと思った
そういえば、康二はひどく傷付いたような顔をした
この言葉がどれだけ康二を傷付けるか知っているくせに、自分が持ち合わせている抵抗の手段がこれしかなかった
自分の足元を見た康二はしばらく黙っていたけれど、ふと顔を上げると私の手首から手を離し、横をすり抜けて自宅へ入っていった
「はっ！？ちょっと康二！？」
私の制止なんか聞かずにズカズカと家に入り込んだ康二は、ダイニングの中心に鎮座するソファにドサリと座り込んだ
その表情はよく知っている
何だそのブスくれた顔は
「ボイコットや！ボイコット！」
「は？」
「俺、ここから動かへんからな！」
「ストライキでしょ」
「…ストライキや！！」
こうして、康二と私の謎の共同生活が開始した
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なむる。(プロフ) - 愛しい愛しい康二の可愛さ、伝わって本当に安心してます笑 自分も書いててこのシーンは筆が乗りました← ありがとうございます！ (2020年9月16日 7時) (
レス) id: 74f22f9e0f (このIDを非表示/違反報告)
雪の王子様 - 居座ってやる！って意地張るくせにそこのワード間違っちゃってるとことかすごい康二らしい(笑)元カレの鳩尾にクリーンヒットはすっきりしました！← 今回も素敵なお話ありがとうございました。 (2020年9月16日 2時) (レス) id: a501c8742d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なむる。 | 作成日時：2020年8月6日 21時
