フラれたので慰めて【うらたぬき】 (ページ3)

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3話ページ3

……なんだ昨日のこととは。もしかしなくても私、やらかした？正直に言えば、昨日"元彼"に振られてからの記憶は…ない。

私のことだから、どっかの小汚い居酒屋で1人寂しくヤケ酒でもしてたのかと思ったのだが、事実はどうなのだろう。

「あの、ごめんなさい昨日の夜のことはほんとに全く覚えてなくて…。私、昨日どこにいましたか？」

こんなこと、今の私にとっては初対面である少年に聞くのはいかがなものかと思うけれど、この人が何かを知っているのなら聞かずにはおけない。そもそも私とこの人はどういう関係なのか。やはり私は年下相手にこの部屋でやらかしてしまったのか。それとも本当に泥棒だったり…。

「……」

私は勇気を出して話しかけたのに、無表情で見下ろしてくる謎の少年に少しばかり苛立ちが募った。何とか言えやクソガキ。

「あの、何か言ってくれないと、さっきからこの状況なにも変わってないの。あなたは誰？」

「…ふ～ん、本当に覚えてないんだ。」

敬語を外して、圧をかけるように少年に話しかければ、つまらなさそうに目を細めた。と思えば、意地悪な笑みを作り、私の耳元に口を近づけてきた。

なになに、と私も耳を傾けて聞く体制を作る。

息を吸う音が聞こえた。

「昨日はよかったよ。」

爆弾発言。

嘘でしょ。泥棒でもなんでもなかった。私がやらかした。いやまじでごめん。だらだらと冷や汗が流れて止まらなかった。振られたショックが大きかったとは言え年下の爽やかイケメン喰ったのか私は。

「ははっ、顔真っ赤。シャワー借りたから。勝手に朝ごはん作ってあるから早く食べよ。」

あまりの衝撃に引き攣った顔で固まる私に、彼は手を伸ばした。大きな手に二の腕が掴まれて、力強く引かれた。ベッドから引きずり下ろされるように布団から出てフローリングに足をつけば、ひんやりとした感触が足の裏全体に感じる。

一気に頭が冴えて、ようやく理解できるこの状況。見知らぬ男と、朝チュン。気分は超最悪だ。