不器用なキミと

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「ちょっとぉ〜2人で盛り上がってないでさぁ」

もぉ〜・・・と膨れながらナミが割り込む。

「おっごめんごめん。Aちゃん、座って？」


「は・・・はい。」

みっくんに促され、掘りごたつの席にそっと腰掛ける。

そりゃあテーブルを挟んで対面式のお席なわけで。
必然的に奥に座らせられた(？)私の隣がナミ、
ナミの目の前にみっくん、そして······

私の目の前には大好きなニカ···。という
信じようにも信じ難いこの状況に、
今にも泣き出しそうだった。






「何飲む？」

ってメニューを渡しながら率先して聞いてくれるのは
やっぱりみっくんで。

プライベートでも気配りがよく出来る人なんだろうなって
なぜか冷静に感心してしまっていた。


ちょっとだけ迷った挙句、



『とりあえず・・・生で』

そう口にすると

「お！いいねー！“とりあえず生で”
って言う系女子！俺好きなんだよね〜！」

って、1番最初に見せた無愛想な顔とは打って変わって、
クシャッと笑って嬉しそうにこっちを見てきたのは
紛れもなく私の好きな人。











······知ってるよ。
ニカがよく雑誌で言ってたからじゃん。


今までビールなんて美味しいって思ったことなかったけど。
カクテルとか、THE・女子な飲み物しか飲まなかったけど。

でも、ニカがそう言ってるのを見てから、
“とりあえずビールで”って言えるように
それからはビールを飲むようになって。

やっと最近ビールの美味しさが分かるようになってきたんだよ？




さすがに、本人の前で
“とりあえずビールで”を使う日がくるなんて
思ってもみなかったけど···

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