某探偵社員、宮城へ。3

任務８５ Side.宮前翔也 ページ14

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"少なくとも、あんたが本当に天鱗会を潰したいことだけは分かったから。"



有栖川Aのその言葉が、頭の中で木霊する。



俺には昔から、俺の中身を見てくれるような、友達と呼べる存在はいなかった。



生まれつき容姿に恵まれていた俺は、周りに好かれることが多かった。


俺の中身に興味のあるやつなんていなくて、あったとしても、暴力団と関わってることが分かればみんなは慣れていく。



結果俺は、自分の性格までも繕った。誰かに認めてもらうために。


雑用だって進んでやるし、頼まれ事を断ったことも失敗したことも無い。


勉強だって努力して、スポーツも運動部に負けないように頑張った。


だけど。


どんなに周りに愛されようと、それは俺自身ではなくて。


そんな俺には、虚しさだけが残った。





だから、俺の本当の気持ちを知ってくれた有栖川には驚いた。


言い寄って来ることもなければ、初めに誘った時に少し嫌な顔を見せたくらいだ。








天鱗会を潰して欲しい理由。


俺は好きで暴力団に所属している訳では無い。親の借金を肩代わりして、それを返すために暴力団に入った。


天鱗会は悪行を繰り返すような薄汚い暴力団で、失敗した部下を淡々と殺していく上の連中に、自身の失敗を揉み消すような卑劣な組長で構成されていた。


一刻も早く、そんな生活から抜け出したくて、武装探偵社に交渉という形で依頼した。


元々は、それだけの理由だったのに。



「好き…って。そんなことあるかよ…！」



多分、一目惚れなんだと思う。



自分が1番やりたくて、だけど1番できない生き方を貫いてる、そんな有栖川に俺は惹かれた。



だから、天鱗会を抜けて、自分に自信が持てるような生き方ができるようになったら、



その時は────────








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