少年院戦�� ページ38
七海によるカウンセリング、術式の訓練、実戦を繰り返し、気がつけばカレンダーは次のページになっていた。7月の文字が光るそのページにはもう雨雲とカエルは描かれていない。日本の長い梅雨もそろそろ明けるとニュースが言っていた。
「本当にいいのか？」
俺の問いに七海は「ええ」と短くつぶやいた。
七海は今日から数日間の遠征出張で、俺はその間彼の車を使っても良いと言われたのだ。今日は座間の米陸軍司令部まで、ようやく届いた『職務経歴書』を取りに行く予定だった。
「呪具は伊地知くんに預けてあります」
「助かる。駅まで送るよ。」
7時半の新幹線だというので、その足で基地まで向かおうと俺も支度した。座間までは1時間半程かかるので、午前のちょうど良い時間につくはずだ。
＊
七海を駅で下ろして車を走らせる事2時間。通勤ラッシュとかいうので道が混んでいたり、連日の雨でスリップした車が横転していたり、思ったよりも時間がかかってしまった。
キャンプ座間、と書かれたゲート前の兵士に声をかけて事情を話すと快く中へ招いてくれた。
書類が届いているという事務所へ向かうと、受付の職員はすぐにその封筒一式を手渡してくれた。礼を言って基地を後にしようとすると、聞き覚えのある声が俺の名を呼んだ。
「A・テイラー？」
「ベティ、久しぶりだな。」
ベティ・オズボーン。陸軍の同期で、数少ない女性兵士だ。
「中佐からお前が来ると聞いて、会えてよかったよ。」
ベティはそう言って熱くハグをしてくれた。
「バトラー准将がお前に感謝してたよ。基地に突っ込んでくる車両を撃ったんだってな。」
「光栄だな」
准将は軍の中でもかなり上位の階級だ。恩を売っておいて損はない。
「仕事見つかったんだって？」
「あぁ。英語講師だよ。」
「よかった。これでまた娘さんと暮らせるね。」
「え？」思わず声が出た。ベティは一体何を勘違いしているのか、俺は仕事がなかったから娘と離れたんじゃない、娘は妻に連れられて出て行ったんだ。
そう説明すると、ベティはしばらく驚いた後、気まずそうに「そ、そうか。」と言った。
「じゃあ、私はあと6ヶ月は日本にいるから、また飲みにでもいこう。」
「あぁいいな、連絡する。」
ナンバーを交換して基地を出ると、スマホが鳴った。画面を見れば『伊地知』と表示されている。本日の俺は休息日なので、何か緊急の用なのだろうかと心して電話に出た。
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小倉トースト山田(プロフ) - 92Uraniumさん» ご指摘ありがとうございます！一応、ジャポニスム感(欧米人にとって日中韓の違いわからないのと同じ)を出す為の表記だったのですが、分かりにくいし千葉の方は普通に不快ですよね…次回の更新時に修正させていただきます！応援ありがとうございます〜！ (2022年2月8日 17時) (
レス) id: e9009eb640 (このIDを非表示/違反報告)
92Uranium(プロフ) - すごく細かい事になってしまうんですが、プロローグの「東京の、成田という空港」というところ、成田空港って千葉にあるんですが、意図があって「東京」にしたわけでないのであれば修正されたほうがよろしいかと思います。作品自体はとても好みなので頑張ってください。 (2022年2月8日 17時) (レス) @page3 id: 30affeabb2 (このIDを非表示/違反報告)
小倉トースト山田(プロフ) - scytheさん» わーん、この系統の話好きな方このサイトであまりお見かけしないので嬉しいです〜！ありがとうございます！ (2022年1月22日 9時) (レス) @page33 id: 4bbcb25095 (このIDを非表示/違反報告)
scythe(プロフ) - めちゃくちゃ好みの作品でびっくりしました……、…、…大好きです…！！続き楽しみにしてます！！！！！ (2022年1月22日 1時) (レス) id: 5a2afd6561 (このIDを非表示/違反報告)
小倉トースト山田(プロフ) - サツキさん» 嬉しすぎるコメントです…ありがとうございます胸に刻みます… (2022年1月19日 23時) (レス) id: 4bbcb25095 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小倉トースト山田 | 作成日時：2022年1月5日 18時
