目を覚ますと�� ページ29
目が覚めた。
部屋の片隅で1:49という数字が光っている。普段はそんな事全くないのに、俺は無性にビールが飲みたくなって七海の冷蔵庫を漁った。
500mlの長缶を発見し、プシッと音を立てて開ける。ぐひぐびと飲みながら、相場が分からなかったのでとりあえずポケットにあった500円玉をビールのあった場所に置いた。
冷蔵庫を閉めてしばらく上を向いていると、缶から垂れてくるものがなくなった。嘘だろ、500のビールを一気に飲み干してしまった。
「おい」
一気飲みのせいか程よく酔いが回ったところで俺は七海の部屋に侵入、ベッドに横たわる男を叩き起こした。申し訳なさなど1ミリもなかった。
「は？ なんですか？」
突然起こされたせいか、かなり機嫌が悪そうだったが、この時の俺はそんな事を気に留める余裕はなかった。
「見ろ」
ベッド元のランプをつけた俺は、Tシャツを脱いで背中のタトゥーを見せつけた。
「綺麗ですね…？」
突然脱ぎ出した俺に七海は一瞬たじろいだが、すぐに一体何を見せつけられているのか分からない、という微妙な反応を返してきた。
「イエスだ。我らが
「はあ、見ればわかります。」
薄暗い光の下でもはっきりとわかる大きさだ。それが自慢だった。
「例えば戦地で吹き飛ばされて軍のIDを紛失したとする、例えばその時にドッグタグも飛んでったとする。そしたら、俺は何者だ？ 見ろ、俺はクリスチャンだ。あの場でそれは重要な意味を持つ。」
だんだん呂律が回らなくなってきたのが分かる
「見ろ、元妻と娘の名前だ。」
今度は左肩を見せつけた
「貴方酔ってるんですか？ 普通他人の家のビール勝手に飲みます？」
「黙れ」
「本当に迷惑です。私、寝てたんですが。」
「黙れと言っただろ」
俺は声を荒げて七海の口を塞いだ。俺の手は大きく、彼の小さな顔の半分を覆い尽くした。
息が出来ないのか、七海は珍しく暴れて俺の腕を曲がってはいけない方向へと捻じ曲げた。
「ゴリラめ！」
折れた腕を抱えながら、俺は叫んだ。
「自己防衛です」
冷静に答える相手に腹が立って、俺は掴みかかった。何がしたかったのか分からない。ただ、俺の頭は目の前の男を"敵だ殺せ"と言っていて、俺はその命令に従った。
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小倉トースト山田(プロフ) - 92Uraniumさん» ご指摘ありがとうございます！一応、ジャポニスム感(欧米人にとって日中韓の違いわからないのと同じ)を出す為の表記だったのですが、分かりにくいし千葉の方は普通に不快ですよね…次回の更新時に修正させていただきます！応援ありがとうございます〜！ (2022年2月8日 17時) (
レス) id: e9009eb640 (このIDを非表示/違反報告)
92Uranium(プロフ) - すごく細かい事になってしまうんですが、プロローグの「東京の、成田という空港」というところ、成田空港って千葉にあるんですが、意図があって「東京」にしたわけでないのであれば修正されたほうがよろしいかと思います。作品自体はとても好みなので頑張ってください。 (2022年2月8日 17時) (レス) @page3 id: 30affeabb2 (このIDを非表示/違反報告)
小倉トースト山田(プロフ) - scytheさん» わーん、この系統の話好きな方このサイトであまりお見かけしないので嬉しいです〜！ありがとうございます！ (2022年1月22日 9時) (レス) @page33 id: 4bbcb25095 (このIDを非表示/違反報告)
scythe(プロフ) - めちゃくちゃ好みの作品でびっくりしました……、…、…大好きです…！！続き楽しみにしてます！！！！！ (2022年1月22日 1時) (レス) id: 5a2afd6561 (このIDを非表示/違反報告)
小倉トースト山田(プロフ) - サツキさん» 嬉しすぎるコメントです…ありがとうございます胸に刻みます… (2022年1月19日 23時) (レス) id: 4bbcb25095 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小倉トースト山田 | 作成日時：2022年1月5日 18時
