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「安心しなさい。それには毒は入ってないわ。そもそも貴女には私の毒が流れているの。耐性は整っているわ」


 飲んじゃった、と目を白黒させるナミにヴィルは告げる
 そしてそっと手を掴み、自分のほうへ引き寄せた
 腕を裏返し、手首の脈に指先につけた。その脈を計り、「まだユニーク魔法の効果は続いているようね」と安心したように呟く



「呪いってやつですか?」


「ええ」


 ヴィルはパッ、とナミから手を離した



「どうして私に呪いを?」


「貴女ならネージュを越えれると思ったのよ」


 じっ、とナミを見つめた
 見つめたというのは優しい表現かもしれない
 少し鋭い瞳だった



「ネージュ…?」


「ああ、この世界に来たばかりの貴女にはまだわからない登場人物だったわね」


 ヴィルはナミにネージュのことを話した
 どんなに憎いことか…と語っているようで、なぜかその目は彼を抜かそうと必死に努力している人の目だった



「ネージュより私のほうが凄いんだって皆に認めてもらいたいの。ミラーミラー、この世で最も美しいのは誰?」


『それは…ネージュ・リュバンシェです』


「ほらね…」


 ヴィルは視線を落とした
「そんなことない!」とナミは立ち上がる



「私、この世界へ来る前、あなたのような方を見かけました」


 ___鏡よ鏡。この世で一番美しいのはだぁれ?
 ナミはその呪文のような質問を思い出した
 たとえ答えが自分じゃなくとも…



「私はあなたが一番美しいと思います。だって綺麗なんですもの!宝石みたい…」


 ナミは肩の力を抜いて、優しく微笑んだ
 その微笑みと力強い言葉でヴィルのイバラもとけ始める



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作者名:真灯 | 作成日時:2022年9月30日 18時

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