【ONE PIECE】必要ない人間のはずだった【ゾロ】 (ページ9)

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9話ページ9

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結局、昼食を済ませても余った金。困りに困ってしまったAを見かねたくいなが、Aの腕を掴んで店という店を回ってAが興味を示したものを買うことにした。

物欲がないというよりは、好きなものや収集する物が少ないらしいAが選ぶものは結局栞やペンなど味気ないものばかりだ。それにまたくいなが呆れて、近場の雑貨屋でブレスレットを買って押し付けた。

「えっ、わ」

「あげる。
未来の大剣豪からのプレゼントなんだから、大事にしてよ」

「！あはは、ならレア物だね。大事にするよ」

「……当たり前じゃない」

照れ臭そうなくいなと、ニコニコ笑うA。
未来の大剣豪はおれだと噛みつこうにも噛みつき辛い空気なので黙り込んでいると、めざとく気付いたAがしょうがない子どもを見る目で苦笑した。
なんとなくむず痒くて気に入らなかった。

「どうだい、ゾロ。何かわかったかな」

「わかんねェ」

「……まぁ、ゾロは剣一筋だからねェ」

先生に手招きされ、道場を出た。
休みにされた日以降、ヒントを得た気はするが答えには結び付かず、睨むようにAを見ていたおれを見かねたらしい先生。
もう少し鍛錬したかったんだが、気になるのも事実なので竹刀を担いでついていった。

「ゾロもよく知っていると思う。あの子はとても賢い子だ。誰が教えずとも字を読み、数を数え、物を知っている」

本人曰く流石に分からないこともあるらしいが、今までの経験や知識から答えを出しているのだという。

その時点でかなり頭が良いと思うし、その知識とやらを知らないおれみたいな人間からすれば、年齢に合わずたくさんものを知っている子どもに見える。
その辺りを気付いていない節があるので、賢いが故に鈍い奴だと思っている。

「それと同時に、人の可能性に気づける子なんだ」

「可能性？」

「人には向き不向きというのがあってね。
あの道場にはたくさん門下生が来るが、全員が将来剣士になるわけではない」

才能がない奴はすぐ分かる。迷いがある奴はもっと分かる。道場にも迷いを抱えるやつはそれなりにいるからだ。
主に将来のことらしいが、大剣豪になると決めているおれにはよく分からない感覚だし、関係ないので基本触れない。

時々、先生やAがそういう奴と話しているのを見かけるのを思い出した。それ関連か？

相変わらずよく分からんと眉を寄せるおれに、先生があの時のAのようにしょうがない子どもを見る目をした。