【ONE PIECE】必要ない人間のはずだった【ゾロ】 (ページ16)

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16話ページ16

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時が流れて、世間で言う青年と呼ばれる年齢になった。
道場では負け無しどころか圧勝を重ねるようになり、敗北の危うさすらない。
それでもまだまだ弱い。いつかにAが語った大剣豪『鷹の目』には遠いと分かっている。だからこの島に戻ることを前提に島の外へ足を伸ばそうと考えているところだ。

あれ以来Aとは、遠目に見かけたり、ふと目が合う程度の儚い交流が続いている。特に会話もなく、Aも瞬きと同時に目を逸らすばかり。

緩やかに大人の女に近づいていく。
当時から細く頼りなかった腕は相も変わらず細いまま程よく柔らかそうで、凹凸のなかった身体は服の上からでも分かるようになった。笑顔も元々あった柔らかさが増し、道場の誰かがお淑やかだと言っていた。

立ち振る舞いも少しは成長したようで、足音は無くなり、気配も消せるようになったらしかった。

時々よそから来る男があいつを見かけるたびに声をかけようとするので、邪な念を感じた奴から片っ端から牽制しておいた。
以前腕を掴まれているのを見てからは、危うそうな奴は特に近付けさせないようにしている。

相変わらず世話が焼ける女だと常々思うが、おれが勝手にやっていることなので弱音も愚痴もねェ。もちろん不満もない。再三言うがこれはおれのエゴだからだ。

「A姉ちゃん、どうしたの？海になんかあった？」

「……ん〜？なんでもないよ」

時折、あの日見た遠い目で海を眺めている。

おれはまだこの島を出るとまでは考えていないが、Aはいつかここを去るのだろう。先生が浮かない顔をすることも増えたので、その時は恐らく遠くない。

「……引っ張ってくか？」

外に出られると、守れない。
だが、あいつ自身の意思を無視してまでこの島に縛り付けるつもりもない。ならおれが連れて行けば_____

「…………いや」

それもまた、自由の剥奪だ。

あいつはおれの必ず筋を通す性質をよく知っている。あの日の拒絶に、何も言えないままこの歳になったことに少なからずおれに気まずさを感じているから、今日まで会話もなかったわけで。

なにより、おれの性質を知るからこそ拒絶という筋を通しているんだろう。
それを無視してまで、やることではない。

「あ"ーーッ、くそッ」

…………めんどくせェ。