【ONE PIECE】必要ない人間のはずだった【ゾロ】 (ページ11)

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11話ページ11

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今日もまた勝てなかった。

どれだけ努力しても、学んでも、それでもやっぱりくいなに勝てない。
既に敗北数は2000を超えた。今の敗北で2001敗目。

おれとくいな以外誰もいない夜の訓練場。
道場内には帰る準備をしてくいなを待つ先生とAがいるらしいが、そんなことどうでもよかった。
思わず涙を流すほどに悔しくて、悔しくて、ようやく泣き止んだ頃にくいなが話し出した。

「女の子はね、大人になったら男の人より弱くなっちゃうの……Aが言ってた、筋肉量の差が大きくなるんだって」

女の子が世界一強くなんてなれない。
先生も、Aも言ったなら事実なのかもしれない。

けれどくいなは、おれの目標だ。

「ゾロはいいね、男の子だから。
……私だって、世界一強くなりたいよ！！
胸だってふくらんできたしさ……私も男に生まれてくれば……」

「おれに勝っといてそんな泣き事言うなよ！！！
卑怯じゃねェかよ！！
お前は、おれの目標なんだぞ！！！」

「ゾロ……」

誰より特訓してきた。
くいなに負けないぐらい大人にも勝ってきた。
Aに色んなことを教えてもらった。

それでも、くいなにだけは勝てなかった。
新しい戦術も何も通じなかった。
それなのに、そのくいながいつかおれに負けることを"女だから負けた"と言おうとしている。

卑怯だ。卑怯だ！！

「男だとか女だとか！！
おれがいつかお前に勝った時もそう言うのか、実力じゃねェみたいに！！！
一生懸命お前に勝つ為に特訓してるおれがバカみてェだろ！！そんな事言うな！！」

絶対勝つんだ。
一緒に強くなったくいなに、更に強くなった俺が上回るんだ。性別とか筋肉量とかそんなことおれには分からない。

だけど、強くなることを諦めたくいなに勝ったって、それはおれの勝利じゃない。おれが望んだ勝利じゃない！

「約束しろよ！！！
いつか必ずおれか、お前が世界一の剣豪になるんだ！！
どっちがなれるか、競争するんだ！！！」

「……バカヤロー……！！
弱いクセにさ」

_______約束だ。

柱の影で、誰かが話を聞いていた事をおれもくいなも気付かなかった。口元に手を当て震えていたことも、何も。