120話 ページ9
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「A、飯を食いに_______……A？」
「っえ、あ、なに？」
「……飯を食いにいかねェか、腹減った」
「ああ、うん、それもいいね」
その挙動の不可解さよりも先に、気配の薄さが気になった。
Aがワノ国に来てから、周囲を懐かしむように見渡すのは常。相反する感情が浮かぶ表情で風を愛で、空を見上げ、花と戯れ、住人に溶け込んでいる。
何があったのかは分からない。だが、あの曰くつきという手鏡がキッカケであることは分かっていた。得意なわけではない見聞色に注視して、フラフラ一人でに歩いて行こうとする背中を追いかける。
日増しに、Aの気配が薄くなっている。
確かにあったあいつの気配が、まるで霧に溶けていくかのように捉えられなくなっていく。
別行動をすれば、それを機に帰ってこなくなるような悪寒が付き纏う。どうやら本人に自覚はないらしく、不思議そうにこちらを見る呑気さに呆れが勝った。
しかしこんなことは初めてで、どう対処したらいいのかも分からない。Aがかつて渇望した地にいることが理由ならば、こいつだけでも離脱させた方がいいのかもしれない。
とはいえ、すぐには無理だ。気分転換にと乗った船は快適で、穏やかで淡い光景はAも気に入ったらしく、ただひたすら景色を眺めていた。
見聞色には変わらず注意したまま酒を飲んでいたとき、一瞬、ほんの一瞬、
「_______おかあさん」
「！？おい！！」
即座に振り返ると同時に、鼓膜を揺らす自我のない声。
叫んでも聞こえていないのか、どこを見ているのか分からない目で桜の舞い込む外へ手を伸ばす。
衝動のまま何もない空に伸ばされた手を掴むと、気配が戻ってきた。
茫然自失な顔をして、ぼんやりと掴んだおれの手を見るAは明らかにおかしい。消えた何かを探すように視線を彷徨かせる様も、何もかも。
「何が見えてる？」
沈黙で返された問い。隠し切れない孤独を内包した目は、俯いて見えなくなった。
_______「おかあさん」
知り合ったときから親らしい大人を周囲で見かけたことはない。知り合って早々に死んだのだと理解した。だが、恋しがるような素振りも見たことがない中で、あの発言は違和感でしかなかった。
途切れたまま繋がらない視線は、大抵こいつが隠し事をしているときの癖だ。無理に暴くつもりはない。
だが、一つ問うのだとしたら。
「ちょっと帰りたくなっただけだよ」
おまえが帰りたいのはシモツキ村なのか？
おれには、到底そう思えねェんだよ。
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雅榴(プロフ) - あやさん» 今作で更に好きになれたなら嬉しいです〜！👏 たくさん楽しんで頂けたなら幸いです。こちらこそ読んで頂きありがとうございました！コメントもありがとうございました！ (2022年12月13日 16時) (
レス) id: 7a47bd801a (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - この作品を読ませてもらって本当にドキドキとときめきが止まらなかったです！元々ゾロは好きだったのですがこの作品でもっと好きになりました。素敵な作品をありがとうございました✨これからも頑張ってください応援してます！ (2022年12月13日 9時) (レス) @page49 id: 0f7e0fb150 (このIDを非表示/違反報告)
雅榴(プロフ) - 翠さん» たくさんのお言葉ありがとうございます！とても楽しんで頂けたようでとても嬉しいです！長いし文も多いのに最後まで読んで下さってありがとうございました。時折頂けたコメントも嬉しかったしモチベになりました。コメントありがとうございました！(*´∀｀*) (2022年12月3日 20時) (レス) id: 7a47bd801a (このIDを非表示/違反報告)
雅榴(プロフ) - なな姫さん» ありがとうございます〜！楽しんで頂けたなら何よりです！次回もまたONE PIECEかなと思っているので、その時もまたお付き合い頂けると嬉しいです。コメントありがとうございました〜！ (2022年12月3日 20時) (レス) id: 7a47bd801a (このIDを非表示/違反報告)
翠(プロフ) - 長文、何度ものコメント、失礼いたしました。お体にお気をつけて、過ごしていって下さい。今までも、これからも、応援しています！╰(*´︶`*)╯♡ (2022年12月3日 19時) (レス) @page49 id: eb4de4b192 (このIDを非表示/違反報告)
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