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心中未遂 ページ40

でも、あの時はそんな事を気にしている程余裕がなかった。



太宰「あのね、織田作から遺言をもらったんだ。」



「うん」



太宰「光の世界に行けってさ…。そんなの無理だよ…」

太宰「私も、死にたい。」



「じゃあ、心中する?」



Aは、今まで見たことない様な優しい微笑みで言った。



太宰「え?」



予想外の反応が返ってきた。

今までダメ元で、何度か心中を頼んだ事があったけど、全て断られて来た。



「どっか遠い誰も居ない所で二人で死のうよ。」



恋人がデートを提案するかの様な感じで、Aは言った。



そこからは早かった。



監視カメラが無い道を通り、穴場の砂浜に来た。



そしてそのまま、ジャブジャブとAは海に入って行く。



「ほら、おいでよ。太宰君。」



Aは怖く無いのだろうか?


ふと、思ってしまった。


私は、元より自_殺願望があった故どうと思わないが、私の願いでAは、心中をしようとしている。



「ふふっ。太宰君おいで。」



そう云うと私の手を取りどんどんと沖に進んで行く


胸元まで浸かった時だ。



「私も、親友が死んだ時死のうとしたんだ。」

「太宰君。私があげたネックレス持ってる?」



太宰「持ってる。」



「貸して。」



言われたままに、ネックレスを渡した。



「えいっ!」



ぽちゃん。



Aはそれを投げた。沖の海に。



太宰「親友の遺品だったんじゃないの?」



「本当はね、親友が嫌いだったんだ。大嫌いだった。」



太宰「…」



Aの表情は見えなかった。



「よし、死のう。」



その日は雨が降って居て海が少し荒れて居たのもあり、肩につくくらいになった所で足を掬われ海に沈んだ。




次に起きたのは、砂浜だった。




死ななかった喪失感よりも先に来たのは.Aの心配。



「起きた?」



横にはAも居た。



「死ななかったね。」



そう言った、Aの胸元にはAが捨てたネックレスがある。



太宰「それ…」



「異能力を使った訳じゃないよ。あと、返すよ。」



太宰「…」



ネックレスを無言で受け取る。



「さっきさ、親友が嫌いだったって言ったでしょ?」

「あれ、嘘。いや、少し嫌いだったかも。でも、本当は大好きだった。いや、愛していた。」



太宰「…」



本当は何処かで気づいていた。



「彼女の恋人になりたかった…」



Aが本当に愛しているのは、



私じゃない誰かだって事を…

彼女の思い出 1→←太宰の追憶。



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零奈(←履歴を消したバカ)(プロフ) - はるぽんさん» くっ、ばれてしまったか… (1月28日 14時) (レス) id: b9e38a5313 (このIDを非表示/違反報告)
はるぽん(プロフ) - もしかしたら違うかもですけど…あの夏が飽和するというボカロ曲入ってますか?もしそうだったら好きすぎます…🥲‎ (1月28日 2時) (レス) @page41 id: d30f688e9b (このIDを非表示/違反報告)
黒崎百合(プロフ) - !楽しみです! (1月11日 15時) (レス) id: 4f63239270 (このIDを非表示/違反報告)
零奈(←履歴を消したバカ)(プロフ) - 黒崎百合さん» 此れからもっと過去編やるのでしばらくすれば分かるかも知れません (1月10日 15時) (レス) id: b9e38a5313 (このIDを非表示/違反報告)
黒崎百合(プロフ) - そうなんですか?何がまざってるのか凄いきになる…あの夏は分かったんだけど…めちゃくちゃ好みです!だいすき! (1月10日 10時) (レス) id: 4f63239270 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:零奈 x他1人 | 作成日時:2023年11月28日 23時

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