あの雲の向こうに２ (ページ30)

今日:28 hit、昨日:1 hit、合計:15,417 hit

★８０★ ページ30

「夜遊びしてきました。病棟一周したら寝てくれると
　思ったんですけど、ダメでした(笑)
　コンビニへ行きたいって納得しなくて、しまっているのを
　確認しに行って、ついでにアイスクリーム買って
　看護師さんと食べてきました。
　まさか、入院中に夜遊びするとはです」

母「満足した顔して寝てるわ、ありがとうね。
　さとくんはゆっくり寝られるけど、翔くんごめんね～」

「大丈夫です。朝、寝ていたらそのままでとお願いしてあるので
　一緒に休んでください」

母「何から何までありがとう。パパが帰ってきたら落ち着くかな」

回診の時間にそっと部屋をのぞくと、まだぐっすり寝ていて、
ママも仮眠中だったから、声をかけなかった。

お昼過ぎに部屋をのぞくと、ちょうどパパが帰ってきたところだった。

父「翔くん、本当にありがとう。ウルトラスーパーがんこちゃん
　だったって聞いたよ。予定より早く戻ってこられたから、
　このまま、退院させてもらっていいかな？」

「おかえりなさい、はい、退院してもらって大丈夫です。
　もしもしだけしとこうね」

母「そうね、お願いします」

智「いや～の、パパ」

父「どうしたの？翔くんだよ」

「あ～この格好ですね、たぶん。ちょっとだけ、
　我慢してよ。
　パパに抱っこしてもらおう」

母「白衣姿はこわいっていうのよ」

父「大丈夫だよ、パパ抱っこしような。
　翔先生お願いします」

「は～い、変わりないですね。
　今日は、家族水いらずでのんびりしてください。
　何か心配なことがあれば、連絡してくださいね。
　さとくん、また、明日の朝ね」

母「わかりました。ありがとうございました」

やっぱり、パパに抱っこしてもらって、車椅子に
荷物を載せて退院した。

一時はどうなることかと思ったから、本当によかった。

さとくんには内緒だけど、鼻水吸引器はネットで注文済み。

勤務を終えて、スマホを確認するとママからライン。

『翔ちゃん、きてくれる？』って何回も聞くので、時間が許せば
顔を見せてやってくださいっていう内容。