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事変 ページ35

あれから二日経った今も、私は里に滞在していた。


せっかくの休暇だから本当は屋敷に帰って断捨離でもしようと思っていたのだけど、なんせ空丸が帰りたがらないのだ。此処の料理の美味しさを知ってしまった鎹烏はおそるべし、床にへばり付いた驚異の吸着力で帰宅を阻止された。





『もう......明日は任務があるから、今日は絶対帰るよ?』



「シカタナイ、許可シタルワ。」





...とは言っても刀の修理も終わった今となっては、こうして森の中を放浪する他に用はない。あの温泉も相変わらず心地いいけれど、これだけ入っていたら溶けてしまいそうだ。





『炭治郎の所にでも行こうかな......』





...ハッ!

ダメだ。
炭治郎の長男力のせいで当たり前のように思ってしまったけど、忘れちゃいけない。
私は極悪隊士だということを。
一緒にいるのを見られたら、それこそ炭治郎に嫌な噂が立ってしまうかも知れない。





「...」




『わっ、どうしたの。いつもは肩になんて乗って来ないのに.....』





空丸は何も答えることなく、まん丸の黒いビー玉の瞳で此方を見つめていた。元気がないように見えてしまったのなら気を遣わせてしまって申し訳ない。




『大丈夫だよ、これくらいで病むほど精神力ヒョロくないか........ら.........』





すうっと首元を撫でた風。

これまでにないくらい嫌な感じだ。明らかに周りと一線を画したドス黒い色は、先にある家屋から伸びている。




『空丸、急いで近くの隊士に伝えて。』




「ハイヨー!!!」









倒壊した建物は既に瓦礫が散乱した平地だった。

紅葉のようなものを持った鬼がそれを振った瞬間、見覚えのある髪飾りの少年が地面に叩きつけられる。





『炭治郎!!!』



「ッ...が.....!!!」





鬼を蹴飛ばして炭治郎を抱える。

早く安全なところに....ッ!!






「A、さん.....!!!」




『何...!!』






何を思ったのか軽く抵抗する炭治郎。

仕方なく足を止めて下ろすと、意外にも地に足をついて立てていた。最初の頃と比べたら回復力も格段に上がっていて、上弦の戦いから更に成長したことを感じた。





「玄弥を....お願いします...ッ!!!」







こんな時まで.....



優しさもここまでくると短所だよ。





『.....わかった。』

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(プロフ) - まひるさん» ありがとうございます!!休校期間中に頑張って進めたいと思います笑 (2020年5月13日 13時) (レス) id: 320a011c9f (このIDを非表示/違反報告)
まひる - 夢主ちゃんが哀しいくらいに優しかったり、もう一人の子にもきちんと物語があったりととても惹き込まれる内容で大好きです…!!これからも頑張ってください! (2020年5月13日 11時) (レス) id: 0004663b73 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2020年5月9日 23時

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