ゞ ページ31
「だよねぇ」
「あははっ、」
脱衣所へ入ると数名の女隊士がいた。
此方に気付いてそそくさと去っていく。
『わっかりやすいなぁ....』
自分で言うのもなんだが、最高位というのは相当らしい。もし私が下級隊士だったら確実にいじめ抜かれているだろう。柱という肩書きのお陰で避けられるだけで済んでいるが、考えると恐ろしい。
『はぁぁぁああぁ癒されるぅぅ』
「セヤナ。」
...ん？
『ねぇ、空丸は向こうでしょ？』
「ナンテコト！！！ワイニモ乙女心クライアルッチュウネン！！！」
『はぁ........今は私しかいないから良いけど、誰か来たら投げるからね。』
「イヤン。」
全く、家族とはいえ入浴まで一緒にいる必要はあるんだろうか。心配してくれるのは嬉しいけれど、このままだと厠までついて来そうな勢いだ。
『.....』
ふと、里までの道中を思い出す。
民家が立ち並んだ隙間を縫って作られたような空き地には、昼御飯を終えて遊んでいる子供達がいた。軽快に蹴鞠をする彼らは、きっと成功しても失敗しても笑顔なんだろう。無邪気で好奇心旺盛なその姿に、少し活力をもらえた気がする。
...私もあんな風に笑えていたんだろうか。
施設長は寡黙なくせに変なところで口煩かった。
皆それを口先では鬱陶しがっていたけれど、本当は嬉しかったんだ。
親に見放された私たちが確かに感じることの出来る愛だったから。
でも、その頭を撫でてくれた感覚さえ今ではもう思い出せない。
記憶に残っているのは血濡れになった施設と、そこに横たわる“家族”の姿だけだ。
当たり前に私を包んでいた温かい色は、無機物でできた建物に吸い込まれていくように消えていった。
あのとき私が御使いに行きたくないと駄々をこねていれば、何か変わったんだろうか。
いや、きっと何も変わらない。
あの頃の私には皆を守ることなんて愚か、自分のことすら守れなかったんだから。
それでも時々思ってしまう。
御使いに行ったのが私じゃなくて他の誰かだったら。私が一人で留守番でもしていれば良かった。
どうして私が生きているのか、分からなくなる。
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餅(プロフ) - まひるさん» ありがとうございます！！休校期間中に頑張って進めたいと思います笑 (2020年5月13日 13時) (
レス) id: 320a011c9f (このIDを非表示/違反報告)
まひる - 夢主ちゃんが哀しいくらいに優しかったり、もう一人の子にもきちんと物語があったりととても惹き込まれる内容で大好きです…！！これからも頑張ってください！ (2020年5月13日 11時) (レス) id: 0004663b73 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：餅 | 作成日時：2020年5月9日 23時
