生ける ページ24
『...』
此処は.......？
見覚えのない屋敷の天井。
敷布団に横たえられた自分の体は思うように動かない。反射的に腹の傷を見ると、丁寧に治療された跡があった。
確か、私は路地で意識を失ったはず。
「おい、醜女。」
『！！』
近くに来るまで全く気が付かなかった。
『貴方......鬼？』
「チッ、失礼な奴だ。まずは自分の名を名乗るのが礼儀だろう。こんな醜女、珠世様の御命令が無ければ放っておいたものを......」
「こら、愈史郎。」
まただ、また鬼の気配。
ここは一体何処なのだろう。治療されている時点で敵ではないらしいが、だとしたら目的は.....？
起き上がろうと力むと、そっと肩を押された。
「まだ動いてはいけません。お腹の傷は深いですから安静に。」
先程鬼の男の子が言っていた“珠世”という人物は、おそらくこの人だろう。
『あの.....此処は一体...』
「此処は私たちの拠点です。愈史郎の血気術によって目眩しされているので、誰かに見つかる心配もありません。」
目眩し。愈史郎と呼ばれた明らかに不機嫌そうな彼の血気術だろうか。
『貴方達は、鬼じゃないんですか......？』
「いえ...鬼ですが、人は喰べません。私達は少量の人の血液で生きられるように、少し改良しましたから。」
人の血だけで.....
「....私からも、少しお聞きして宜しいでしょうか。」
少し間をおいて、緊張したように尋ねられる。これだけしてもらって質問に答えるぐらい何ともないのに、目の前の女性は鬼とは無縁そうなほど謙虚であった。
「傷口から覚えのある血気術が..........貴方が戦っていたのは、上弦の鬼ですか？」
虹色の瞳。そこにはしっかりと上弦の文字が刻まれていた。氷の血気術の破片が、傷口や内部に残っていたんだろう。記憶を辿りながら、頷いた。
「貴方達はきちんと治療してもらう場所があるのに、何故あんな所に.......靴の裏には泥が沢山付いていたので、任務先は街ではないでしょう？」
いつもなら直ぐに小手先がきく二枚舌が、喉を逆流する言葉によって遮られる。
『.....山中での任務終わりに、上弦と遭遇して、そのまま街に逃げて来たんです。』
「...」
私が何とか作り上げた捏造を、珠世さんは眉を下げて聞いていた。
「.....肩口に付いた血液は、貴方のものじゃないでしょう？」
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餅(プロフ) - まひるさん» ありがとうございます！！休校期間中に頑張って進めたいと思います笑 (2020年5月13日 13時) (
レス) id: 320a011c9f (このIDを非表示/違反報告)
まひる - 夢主ちゃんが哀しいくらいに優しかったり、もう一人の子にもきちんと物語があったりととても惹き込まれる内容で大好きです…！！これからも頑張ってください！ (2020年5月13日 11時) (レス) id: 0004663b73 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：餅 | 作成日時：2020年5月9日 23時
