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虚ろ ページ19

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『よろしくお願いします。』


私には理解できなかった。


自分を陥れた奴が目の前にいるのに依然と穏やかに笑っている。怒りなんて感情が存在しないかのように、ただ静かに。



「よろしくね。」



対して私は、相変わらず最低な人間だった。




最低なのは彼女じゃない。


私を産んだ彼奴と、

私自身だ。


あの子はただ、彼奴と顔が似ているだけの子どもなのに。顔を見るとあの頃の記憶が抉り出されているようで、一時の感情に任せて彼女の人生を滅茶苦茶にしてしまった。


そして気が付けば、真実なんて到底口に出せる状況ではなくなっていた。






事の始まりは、去年の夏。


彼女が就任して一ヶ月の合同任務だった。





彼女は私より三歳も年下とは思えないほどの綺麗な太刀筋で、元下弦がいたにも関わらず難なく任務は終わる。私はというと、不意の攻撃を食らい腕を負傷。

心配するように覗き込んだ顔が記憶と重なって、虫酸が走った。

私を散々殴った後、我に帰ったように心配する母の顔。決して忘れない。履き違えた愛情は、私には憎悪でしかなかった。


だから、ふと過ぎってしまった



そうだ、

あの顔を歪ませてやろう。

妹を殺しても尚、のうのうと生きていたあの顔を。



私は独り善がりに母の姿を重ねた。

母には似ても似つかない、真っ直ぐな瞳をした少女に重ねてしまったんだ。




柱に就任して二年になる私と一ヶ月も経たない彼女じゃ、信頼する方は否応なしに決まっている。しのぶに治療してもらうときに、少し相談があると言ってツラツラと虚言を並べた。


これはあの子に負わされた傷だ。
急に斬りかかってきた。


そんな浅はかな私の言葉を信じてしまうほど、二年間で積み上げた信頼は大きかった。





数日後、噂はたちまち広まった。






吐きそうなくらいの罪悪感が押し寄せる。





仲間を騙したこと。

罪のない一人の少女の人生を壊したこと。






その罪は、きっと死んでも償いきれない。





結局私は母と何も変わらない。


鬼殺隊に入ってから錯覚していただけで、


根底にある、人として大事な何かが欠けている。

伝染→←大丈夫。



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(プロフ) - まひるさん» ありがとうございます!!休校期間中に頑張って進めたいと思います笑 (2020年5月13日 13時) (レス) id: 320a011c9f (このIDを非表示/違反報告)
まひる - 夢主ちゃんが哀しいくらいに優しかったり、もう一人の子にもきちんと物語があったりととても惹き込まれる内容で大好きです…!!これからも頑張ってください! (2020年5月13日 11時) (レス) id: 0004663b73 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2020年5月9日 23時

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