冗談は２次元だけにしてもらえます？ ２【沖田総悟】

第５５話 ページ17

総悟と私は公園のベンチに座り、お互い何も言わずぼーっとしていた。

そばに咲いていたタンポポの綿毛をなにげなく摘み、ふーっと息を吹きかけて飛ばす。

するとその先に人影が見えた。それはどんどんこちらに近づいて来て。


「やっと、見つけた……！」

「はい？」


若い女の人。茶色がかった長い黒髪は腰まで伸びている。白ブラウスに紺色ベスト、同じく紺色のミニスカートに黒いニーハイブーツを履き、襟の立ったワインレッドのロングコートを着ている。袖は七歩丈までまくっていて、両手には茶色い革の手袋。腰には真剣を2本さしている。


「あの、どちら様ですか……？」

「よく見て、わからないかな？」


女の人に言われて顔をよく見る。……あれ？
初対面のはずなのに、私はこの顔をよく知っている＿＿そう思っていたら、総悟が先に答えた。


「A、だろィ？」

「え、わ、私！？ どういうこと！？」

「ふふ、正解」


女の人＿＿大人になった"私"がにっこり笑った。



＊



「えーっ、5年後！？」

「貴方達ふたりからしたらそういうことだね。もちろん私は今、22歳」


驚いた……5年後の未来から来たとか、まるで銀魂完結篇だよ。


「もとの世界には戻れてないの？」

「うん、残念ながら」

「5年後の俺は元気にやってんのかィ」

「……総悟、ね」


5年後の私は、ふっと悲しげな表情になった。

なんとなく、嫌な予感がする。


「話すと少し長くなるよ。いい？ 落ち着いて、最後までよく聞いて」


5年後の私が語り始めたのは、未来で起きたとんでもない出来事の話だった。

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