冗談は２次元だけにしてもらえます？ ２【沖田総悟】

第５２話 ページ14

場所は列車から荒れ地に移る。

伊東さんはうつ伏せに倒れていて、真選組隊士が周囲を囲む。


「本当に、これで良かったんでしょうか……」


新八くんが煮え切らない思いを吐き出すと、ふと脇で耳慣れた声がつぶやいた。


「ほっといたって、奴はもう死ぬ」


そこには銀さんが立っていた。将軍暗殺をしっかり阻止してきたようで、身体は傷だらけ。いつもの着流し姿に戻っているところを見ると、片栗虎さんに制服を返して(ついでにギャラも請求して)きたらしい。


「だからこそ……斬らなきゃならねェ」


伊東さんの前に土方さんが刀を投げ置いた。


「立て、伊東。決着つけようじゃねーか」


土方さんに告げられ、伊東さんが目を見開いたのはもちろん、新八くんも驚いていた。


「あいつら……伊東(ヤツ)を薄汚ねェ裏切り者のまま、死なせたくねーんだよ」


銀さんが静かに語る。真選組は最後まで伊東さんを対等に扱おうとしてくれているんだろう。

近藤さんや総悟はただ黙って伊東さんを見守っている。


「最後は武士として……仲間として、伊東(ヤツ)を死なせてやりてーんだよ」


伊東さんは片手で剣を握ると、土方さんを見すえ、全力でかけ出した。


「土方ァァァ！」

「伊東ォォォ！」


対する土方さんも剣を構え、伊東さんに全力でぶつかっていく。

ふたりが交差した瞬間、大量の鮮血が宙に舞った。
斬られたのは伊東さんだけど、その表情はとても晴れやかだった。


「あり……がとう……」


仲間たちに見守られながら、伊東さんは倒れた。

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