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第84話 ページ6

「__婚約指輪、のつもりだったんだが、もはやただの形見だ。他の男ができたら外してくれて構わねェ」

「そんな……そんなこと言わないで! 私は総悟と一緒に生きていきたい!」


ミライは目から大粒の涙を流しながらそう言ったが、総悟はただ首を横に振るだけだった。


「俺の分まで、生きろ。前向いて、誰か他の奴と一緒になって、幸せに生きてくれ。本当は俺がおめェを幸せにしてやりたかったが、おめェが笑顔でいてくれるなら……俺ァそれでいい」


総悟はミライの頬に手を添えた。かつて姉のミツバがそうしたように、そっと、優しく。

その温もりがさらに涙腺を緩ませる。


「総悟……」


ミライは弱々しいその手に自分の手を重ね、すべり落ちないようにぎゅっと握った。


「こんな野郎でも愛してくれて、俺ァ、嬉しかったぜィ……A……礼を言い……ま……さ……」


そう言ったのを最後に総悟は目を閉じ、それきり動かなくなった。


「……そう、ご? 総悟? ねえ、目を開けてよ。ドッキリだって、笑ってみせてよ……!」


いくら呼んでも、もう届かない。


力の抜けたその手を握りしめたまま、ミライはただ身体を震わせて泣いた。

総悟の頬に落ちた雫がきらりと光る。




その日は澄みきった青空が広がっていて、
悲しいくらいに美しかった。

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設定タグ:銀魂 , トリップ , 沖田総悟   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:yunami☆彡 | 作成日時:2022年5月6日 12時

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