第92話 ページ14
「だがあの時、列車に乗り込んできたお前を見て、意識がガラリと変わった」
「あの時……」
真選組の動乱の時、私は神楽ちゃんの助けを借り、孤軍奮闘する総悟のもとに駆けつけた。
結果は知っていたのにどうしてそうしたのかは、正直自分でもはっきりとはわからない。
けれど、行かずにはいられなかったから。
「俺一人のために命を危険に晒すことを承知で乗り込んできたのを見て、思ったんでィ」
__こいつはただの女じゃない。
誰かのために一生懸命になれる、強い心を持った奴だって。
「その時に改めて惚れた。姉上に似たお前ではなく、一人の人間としてのお前に」
こちらを見据えるその目は真剣な眼差しで。
なんだかいつになく真面目、なんてどうでもいいことを考えつつも、彼の言葉は胸にすとんと落ちた。
「アイツのあの言葉の意味、これで解らないほどお前鈍くねェだろ」
もちろん、この期に及んでまだハテナを浮かべているほど私も抜けてはない。
総悟は私が頷いたのを見て、「つーわけで、今度はお前な」と促した。
「え、今すぐ!?」
「一方的じゃ成り立たねーだろィ。まだ何も知らないからな」
好きだと告げられたその次の段階といえば、互いがそれと呼び合う関係になるかならないかというところ。
いずれにしても、返事をしなくてはならない。
「教えてくれねェか。お前の気持ちを」
「私の気持ち……」
総悟は私を好きと言ってくれた。
じゃあ、私自身はどうなのだろうか?
正直、はっきりしていなかった。
もともと総悟のことは"推し"として好きだったから、恋愛対象として認識してはいなかった。当然といえば当然。
でもこうして生身で関わっていく中で、これまでページや画面の中からでは解り得なかった未知の部分を知った。
幻滅するような人物だったか?
そんなことはなかった。
……たぶん、私の中で答えを見つけるとしたら、
それはもう決まってるんだと思う。
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作者名:yunami☆彡 | 作成日時:2022年5月6日 12時