泣いた先の向こう [鬼滅の刃]

#28 ページ29

『外に出るなと言うなら出ないっ！歩くなと言うなら歩かないっ！だから、だから……お前は、私の傍にいろ…』

伊黒「…分かった」

伊黒はAの横に座ると、上半身だけ起こしているAを抱き寄せた

『煉獄は私を置いていった…いつも死なないとか、鬼には負けないとか言ってたのに。小芭内は、私の傍にいろ。小芭内は私を置いていくな…小芭内までいなくなったら、私、は………』

心が壊れそうだった

あれだけ強かった煉獄が死に、それを侮辱した隊士が許せなかった

誰だっていつ死ぬかなんて分からない

伊黒「俺が死ぬなど誰か言ったか？」

『違う、そうじゃない。誰も彼もいつ死ぬか分からない。次に居なくなるのが、小芭内、だったらどうしようって……だから、此処にいろ。此処にいれば安全だ』

伊黒「死ぬのが前提か？物騒な考えだな」

『なんとでも言え。居なくならないなら、それでいい。私は、死ぬのなんて怖くない。でも…他の誰かが死ぬのは嫌だ。私は、怖いよ。誰かが死ぬのが……！』

伊黒「…鬼が憎いか？」

『あぁ、心底憎いよ…！両親が死んだのは確かに鬼のせいだった。でも、特に気にもしなかった。あんな親、居なくなって清々した。両親を殺した鬼には感謝したくらいだ。今まで、鬼を憎んだ事がなかった訳じゃない。帰って来なかった部下だって何人もいた。でも、鬼殺隊だからしょうがない。それで済ませてた。下の部下が死んでしまっても、柱達が居てくれるならそれでいい。なのに………人を守ると言っていた煉獄が死んだっ！馬鹿にされたっ！憎い、とても憎い…上弦の鬼と、あの隊士が。腸が煮えくり返る程っ！』

#29→←#27

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す