恋愛の「れ」の字も知らない科学少年【Dr. STONE】

復活の水（千空side） ページ39

千空side


作り直した土器は今度は上手く行き、割れずに蒸留が出来ている。そして改良を繰り返しながらも蒸留を続けていった。


季節もやがて冬になり、そして春が来た。


ようやく、蒸留した酒のアルコールｰエタノールと硝酸の混合液、ナイタール液が完成。長い月日をかけて完成させたこのナイタール液を早速かけてみる。

すると、反応が……

あった。

なんと一枚の羽に反応があり、硬い石の中からフワリとした鳥の羽が出てきた。

思わず大樹と二人で目を見開き、急いで同じ配合のナイタール液を精製する。

そして、ツバメの石像を用意し、期待を込めてそれをかけた。

「教えてやるよデカブツ。『科学ではわからないこともある』じゃねえ」

ピシピシと石像に亀裂が入る。胸の鼓動が高まっていく。

「わからねぇことにルールを探す。そのクッソ地道な努力を科学って呼んでるだけだ！！」

ふわり

ツバメが舞い上がった。

「うおおおおお！！」

大樹も感極まって叫んでいる。

石化から解放されたツバメは、数千年分ぶりの飛翔を楽しむかのように上空をくるくると回ると、何処かへと飛んでいった。

俺の胸の高鳴りも最高潮に達した。体の力が抜け、座り込む。

「実験始めて一年。ククク、意外と早かったな。ファンタジーに科学で勝ってやんぞ。唆るぜ、これは…！」

(まずは1つ目の謎クリアだ。これで人類を救える。Aのことも救える。待ってろ、A。しかし助ける云々より、どうか無事であってくれ…)

俺はこの一年を振り返りながら、感慨にふける。そして俺はニヤリとした。次すべき事は…

「大樹、これはテメーのブドウの手柄だ。最初に助ける人間くらいテメーが決めろ」

一人目の復活。

「ありがとう、千空！」

大樹が復活させるのはきっとアイツだ。

「答えはもちろん決まっている！！俺は杠を助ける！！」

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