俺だったら(千空side) ページ19
千空side
腕を組み、はーっはっはっはーと笑うAとそれに乗っかる俺。これまでの付き合いのたわもので、今ではどんな時でもAのテンションに乗ることが出来るようになった。
しかしAのやつ、好き勝手言いやがって……しかも少し上から目線なのがムカつくな……
いや、それはまず置いといて……
「つーか、恋の悩みってなんだよ」
友達のことか、はたまたA自身のことか。
「え?えーっと、好きな人の話……」
「お前のか?」
Aは目をそらしてこくんと頷く。
「A、好きなやついたのか」
間を開けてAはまた頷いた。
俺は、口に出して改めて思った。俺はAの事が好きだと。Aの好きなやつが自分だったらいいのにと。そう考えると、胸がズキッと痛んだ。
そして俺は単刀直入に聞いた。
「誰だよ、好きなやつ」
苛立ちや焦りがあったのかもしれない。どうして俺ではないのかと。
そんな俺の質問に対して、Aは
「えっ、あっ、そ、それは……」
と焦り、顔を赤くした。が、
え、カワイイ…じゃなくて、なんだその顔は。見てるこっちまで恥ずかしくなるじゃねーか。
と俺はAの反応に一瞬まごついてしまった。
「ククク、テメーの言ってた初々しさとやら、俺にもちぃーと分かった気がすんぞ」
そう俺が言うと、
「え、何?顔に出てた?恥ずかしいー」
うわーと両手で顔を覆った。
今すぐその両手を引っぺがして、照れ顔でも拝んでやろうと思ったが、その気持ちを抑え俺は話を続けた。
「んで、なんだよ。言えねーのか好きなやつ」
「ま、まぁ。そんなほいほい言えるもんじゃないし…」
「そうか…」
教えてくれないのなら仕方がない。気になるが、無理に聞いて嫌われるよりかはマシだ。
「どう悩んでんだ?的確なアドバイスはできねぇが、少しくらいまともな事とか、励ましくらいは俺にもできるかもしれねぇ。抱え込まずに言ってみろ」
諦めて俺はアドバイスにまわることにした。するとAは黙り込み、少ししてから話し始めた。
「私…の好きな人は……多分、いや絶対にそういう風に私を見てくれてないんだ」
「Aの事が好き…ってことか?」
また無言で頷くA。
悲しそうなAの顔を見て、俺だったらそんなことないのにと心の中でつぶやいた。俺じゃダメかなんて、尚更言えるはずもなく。
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のの - おもしろすぎませんか? (2022年4月26日 19時) (レス) @page50 id: 39b5b02acb (このIDを非表示/違反報告)
鳥ゐ(とりい)(プロフ) - Nebelさん» コメントありがとうございます!こうして言葉として感想をいただけるのは、より嬉しくなりますね!これからも頑張ります!!! (2021年1月30日 23時) (レス) id: e1991bef49 (このIDを非表示/違反報告)
Nebel(プロフ) - 初コメ失礼します!ワイはこの手の話が大好きなんで、心情舞い上がっております(笑) 続きも楽しみにしています!頑張ってください!( `・∀・´)ノ (2021年1月28日 0時) (レス) id: 758ebcb85a (このIDを非表示/違反報告)
鳥ゐ(とりい)(プロフ) - スモモさん» そう言ってもらえて嬉しいです!ありがとうございます!! (2021年1月7日 23時) (レス) id: e1991bef49 (このIDを非表示/違反報告)
スモモ - ヴっ!!!いい!すごくいいっ! (2020年12月1日 22時) (レス) id: ba34499442 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鳥ゐ(とりい) | 作成日時:2020年8月7日 22時