勘違い〈石川啄木〉 ページ44
静かな図書館の廊下に、響き渡る不協和音。
「待てぇぇぇぇぇぇ！！！」
『待てって言われて素直に待つ奴がいるかッ！！』
私はそう叫んで啄木先生から逃げるために走る速さを上げるが、啄木先生も負けじと速くしてくる。
はい、絶賛啄木先生と鬼ごっこしてます。
いや止まったら、絶対って言っていいほど聞かされるのは借金のことでしょ？！そうはさせるか！！
この借金王に関わったら自分まで貧乏になる！！
その生きあってか私の走る速さは男の啄木先生よりも少しだけ速いくらいであった。
シャトルランですら十回行かないでリタイアする女が、男の人に勝つほどの持久力になっている。
火事場のバカちからとはこのことか。
啄「ちょっ、マジで止まれって！！！」
『嫌だぁぁぁぁぁぁぁぁぁ！！！』
そうやって叫ぶと、数メートル先の扉が開き此方の様子を確認して苦笑した高村先生が「頑張って、A」と声をかけてくださった。
いや、声援送るくらいなら助けてください。
そんな思いも虚しく私は高村先生の前を特急列車の如くバビューンっと通り過ぎて行く。
『…あぁ、何でこんなことに』
一人ポツリと呟いた後、近くの角を曲がり手すりを上手く使って階段を滑り落ちる。
このままエントランスまで行って外に逃げてやる！
階段の踊り場で一回ターンしてもう一回滑り落ちようと手すりに手をついたら私の頭上が暗くなった。
啄木先生が降りてきたのである。
否、落ちてきた。
「『なぁぁぁぁぁぁぁぁぁ？！！！！！』」
女が落ちてくる男を支えることなんてほぼ不可能。
けど私は啄木先生を何とか受け止めようと、手を伸ばしたら二人一緒に踊り場に寝転がる形になった。
私まで見事に巻き添いを食らったぞ。
寝転がった拍子に背中に壁をぶつけて、吐き出す予定のない空気が腹の底から湧き、口から出す。
『…おげぇ』
啄「な！だ、大丈夫か？！！」
『あぁ、まぁ…』
啄木先生に背中を支えてもらってヨロヨロと何とか起き上がる。介護されてる気分だ。
啄「…ったく、逃げるからそうなるんだよ…」
『そりゃ逃げるよ、借金の話されんの分かってるからね。啄木先生の話すことなんてたかが知れてる』
酷い言い様だな？！っと言って啄木先生は私の頭をわしゃわしゃっと撫で回してきた。
啄「はぁ…今回は金は借りねぇよ」
『え？じゃあなんで追いかけてきたのさ』
啄「…俺様もAに呼び捨てで呼ばれてぇって言いたかっただけだ」
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結愛 - 文アル歴早三年このお話お気に入りになった (2023年3月18日 22時) (
レス) @page9 id: 5309fc8273 (このIDを非表示/違反報告)
法蓮草(プロフ) - 最中さん» わー！！ありがとうございます！！！これからも精進していきたいと思います！！ (2018年8月27日 22時) (レス) id: 6397094652 (このIDを非表示/違反報告)
最中 - 文アル最近始めたんですけど、この小説好きです！これからも頑張って下さい！ (2018年8月27日 1時) (レス) id: 4af8f25fc3 (このIDを非表示/違反報告)
法蓮草(プロフ) - 下野月さん» わー！ありがとうございます！！これを励みにもっともっと頑張ります！！(°▽°) (2018年5月15日 14時) (レス) id: 6397094652 (このIDを非表示/違反報告)
下野月(プロフ) - いつも読ませてもらってます！法蓮草さんの書く小説は本当に大好きです！これからも頑張って下さい！ (2018年5月15日 13時) (レス) id: 18e714d719 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：法蓮草 | 作成日時：2018年4月6日 21時
