☆言祝ぐ〈中原中也〉 ページ28
【頼み事】の続きです。
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夜。
電球で明るくなった廊下を歩く黒い影を見つけた私は、その黒い影に向かって全速力で突っ込んだ。
『おらおらおらおらおらぁぁ!!!』
「はぁ?!!A?!!!……ごふっっ!!」
偉大な詩人、中也が軽く吹っ飛んだ。
すぽーんとゴムまりのように吹っ飛んだ。
いや、吹っ飛ばした。
最長記録更新です。
私は屈んで中也の腹部に突進しました。
世に言うタックルです。
そして吹っ飛ばした犯人は私だ←
しかも少しお酒の香りがするので飲んで来たあとの事でしょう、それが最長記録を更新できた理由だ。
『やぁ!調子はどうだい!!』
中「最悪極まりないな、この野郎」
『それは良かった!!』
いや、どこが良いんだよ!!と中也の怒声を横に流しながら私は中也を起こす。
ふらふらと起きる様を見てだいぶ酔っている様だ。
ま、いっか。今日は目を瞑ろう。
中「…で?態々俺にタックルして来たんだ。生半可な理由で会いに来たんなら許さねぇぞ?」
『あ、そこは大丈夫!!ちゃんとした理由でタックルして吹き飛ばしに来たから!!』
中「吹き飛ばしにくることは前提だったのかよ!」
『そうだよ!悪いか!!』
中「少なくとも俺に益は無いのは確かだな!!」
『おめでとう!私には益があったよ!!』
中「うるせぇ!黙れ!!」
そう言うと、中也のお気に入りであろう黒い帽子を私の頭に被せた…と言うより押さえつけられた。
あ、やばい!!縮むわ、ボゲ!!
『ギブギブギブギブギブ!!!』
中「はっ、わかりゃあ良いんだよ。わかりゃあ」
そう言ってニヤリと笑った中也の顔は何処か誇らしげだった。あぁ…私には勝てるからね、君。
肩をすくめ、持っていた紙袋を中也に差し出す。
『…まぁ、いっか。はいこれ』
中「あん?酒かぁ?」
『残念、酒じゃありませーん。開けて見なよ』
中也は整っている眉を歪ませながら紙袋乱暴に開ける。…わぁ、大胆やなぁ…中也らしい。
中「…!これって…」
中也は見てきたが、私は少し恥ずかしかったので視線を中也から外しながら笑ってみた。
『誕生日おめでとう、中也』
中「あ…りがとう…」
中也はお酒が入ったみたいにまた顔を赤くする。
でも表情は心なしか嬉しそうだった。
『あ、そうだ、中に賢治君が描いてくれた絵と私が選んだフクジュソウ。それと手紙があるから!見てね!!』
中「……分かった」
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結愛 - 文アル歴早三年このお話お気に入りになった (2023年3月18日 22時) (レス) @page9 id: 5309fc8273 (このIDを非表示/違反報告)
法蓮草(プロフ) - 最中さん» わー!!ありがとうございます!!!これからも精進していきたいと思います!! (2018年8月27日 22時) (レス) id: 6397094652 (このIDを非表示/違反報告)
最中 - 文アル最近始めたんですけど、この小説好きです!これからも頑張って下さい! (2018年8月27日 1時) (レス) id: 4af8f25fc3 (このIDを非表示/違反報告)
法蓮草(プロフ) - 下野月さん» わー!ありがとうございます!!これを励みにもっともっと頑張ります!!(°▽°) (2018年5月15日 14時) (レス) id: 6397094652 (このIDを非表示/違反報告)
下野月(プロフ) - いつも読ませてもらってます!法蓮草さんの書く小説は本当に大好きです!これからも頑張って下さい! (2018年5月15日 13時) (レス) id: 18e714d719 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:法蓮草 | 作成日時:2018年4月6日 21時