喫煙〈北原白秋〉 ページ3
ぷかぷかと上に上がっていく煙は、ただ見ているだけなら小さな雲に見えた。
そう、ただ見ているだけならの話。
『ゲホッゲホッ！白秋せんせ…ゴホッ！！』
白「おや、どうしたんだい？」
『どうしたんだいって…ゲホッ』
すっかり紫煙の缶詰となった司書室を換気すべく、窓を開け放ちながら白秋先生をじとっと見る。
喉がヒリヒリして痛い。
目も花粉症の時みたいに涙が止まらない。
これは何分か経たないと治らないなと覚悟を決め、未だ悲鳴をあげている喉を奮い立たせた。
『前も説明した通り、ゴホッ…弊図書館では室内での喫煙は禁止させていただいてます…ゴホッ』
白「あぁ、そう云えばそうだったね」
今思い出したと云わんばかりの顔を向けられ、驚きを通り越して呆れ果ててしまう。
忘れないで下さいよ…一応規則ですよ…。
『と、云うわけです。煙草は外で吸って下さい』
白「うーん…でも、煙草を吸いに外にいちいち出ていたら司書室に戻ってくるのが面倒なのだよ」
白秋先生は此方を横目でチラリと見ながら、ふふっと笑った。
そんなんで規則が緩むと思ったら大間違いです。
『なら煙草止めたらどうです？』
白「それは無理なのだよ」
『私だって室内での喫煙は遠慮してほしいですね』
私も負けじとニコリと笑いかけると、白秋先生は考えるそぶりも見せずに司書室の縁側に腰掛けた。
…まさか。
白「ここなら外だろう？」
『…えぇ、まぁ、そうですけどね…』
風向きが少しでも変わったら司書室に全ての煙が入ってくるのは解ってますかー。
『いっそのこと中庭で吸って下さいよ…』
白「まぁまぁ、固いことを言わない方がいい」
『元凶は貴方ですよ、白秋先生』
尚ぷかぷかとタバコを吸い続ける白秋先生を視界の隅に追いやりながら、資料を片付け始める。
白「おや、云う様になったじゃないか」
『えぇ、きっと先生のおかげですね』
白「それはそれは」
そう云い、二人で妖しい笑みを交わし合いながら小さな雲の行き先を目で追っていた。
どうやらこの戦いはまだ続きそうだ。
朔「ね、ねぇ…犀。Aと白秋先生…なんか変な空気になってないかな…？」
犀「気にしたら負けだぞ、朔」
(Aって何かと負けん気が強いからなぁ…)
↑心配で見にきていた二人
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結愛 - 文アル歴早三年このお話お気に入りになった (2023年3月18日 22時) (
レス) @page9 id: 5309fc8273 (このIDを非表示/違反報告)
法蓮草(プロフ) - 最中さん» わー！！ありがとうございます！！！これからも精進していきたいと思います！！ (2018年8月27日 22時) (レス) id: 6397094652 (このIDを非表示/違反報告)
最中 - 文アル最近始めたんですけど、この小説好きです！これからも頑張って下さい！ (2018年8月27日 1時) (レス) id: 4af8f25fc3 (このIDを非表示/違反報告)
法蓮草(プロフ) - 下野月さん» わー！ありがとうございます！！これを励みにもっともっと頑張ります！！(°▽°) (2018年5月15日 14時) (レス) id: 6397094652 (このIDを非表示/違反報告)
下野月(プロフ) - いつも読ませてもらってます！法蓮草さんの書く小説は本当に大好きです！これからも頑張って下さい！ (2018年5月15日 13時) (レス) id: 18e714d719 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：法蓮草 | 作成日時：2018年4月6日 21時
