レモンの花〈高村光太郎〉 ページ15
そんなにもあなたはレモンを待つてゐた
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私は誰にも気づかれないように図書館の中庭の森の中で静かに泣いていた。
ここなら誰にも気づかれないし、誰にも聞かれる心配はない。
泣いている理由なんて簡単だった。
高村先生の作品を読んだからである。
あ、そこ!そんなんで泣いてんのか心配して損したわって思ったやつ!!一回読んでみろ!!
まじで涙なしには見れないぞ?!!!
『うぁぁ…智恵子さぁぁん…』
まぁ、そんな訳で絶賛一人泣きです。
司書が人前で泣いてたらいろいろ面倒くさいことになりそうだし、司書室は誰が来てても可笑しくないというわけでこの森を選択したのです!!
私猿より頭いい!!←
「あれ?A?」
空気が凍った。序でに云えば先程まで自信満々に誰も来ないであろうと踏んでいた自分を殴り倒して補修室に放り込んで来たかった。
『たたた、高村先生…ご機嫌麗しゅう…』
高「口調が変になってるよ?」
そんなに僕が来たのに驚いたんだ?と笑いながら此方に近づいてくる高村先生。
しかし私はすくっと立ち上がってそのまま高村先生の胸にばちこーんと飛び込んだ。
こんな顔見られたらマジで洒落にならん…!!
『なんでこんなところにいるんですかぁぁ…』
高「彫刻のための木材を拾いに来たんだ、Aは?」
貴方の作品を読んで泣いてましたなんて口が裂けても言える訳ないでしょう馬鹿。
『チョットオ散歩二』
高「足場悪すぎだよ。これだとお散歩と言うよりはちょっとした登山道じゃないかな?」
『…チョット登山二』
高「いや、今変えられても」
本当にどうしたんだい?と云われたが私が高村先生の方を向かないのを不審に思ったのだろう。
頬を両手で包まれたかと思ったら、強引に上に向かせられた。
鈍く首がゴキィと鳴ったのは気のせいだ、うん。
高「…おや、もしかして泣いてたのかい?」
『そ…うですよ…馬鹿』
理由は秘密ですと云うと、そっかそれじゃあ仕方ないねと笑っていた。
高「さてと、行こっか」
『行くって何処にです…』
高「Aが泣いてるなんてそうそうないし、聞かれたくないのなら聞かないけど気分転換ぐらいなら僕にも出来る自信があるからね」
そう云うと高村先生は私の手を掴んで歩き出した。
『…すみません』
高「んー、僕的には感謝が欲しいな」
『えっと…ありがとうございます、高村先生』
高「うん、どう致しまして」
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結愛 - 文アル歴早三年このお話お気に入りになった (2023年3月18日 22時) (レス) @page9 id: 5309fc8273 (このIDを非表示/違反報告)
法蓮草(プロフ) - 最中さん» わー!!ありがとうございます!!!これからも精進していきたいと思います!! (2018年8月27日 22時) (レス) id: 6397094652 (このIDを非表示/違反報告)
最中 - 文アル最近始めたんですけど、この小説好きです!これからも頑張って下さい! (2018年8月27日 1時) (レス) id: 4af8f25fc3 (このIDを非表示/違反報告)
法蓮草(プロフ) - 下野月さん» わー!ありがとうございます!!これを励みにもっともっと頑張ります!!(°▽°) (2018年5月15日 14時) (レス) id: 6397094652 (このIDを非表示/違反報告)
下野月(プロフ) - いつも読ませてもらってます!法蓮草さんの書く小説は本当に大好きです!これからも頑張って下さい! (2018年5月15日 13時) (レス) id: 18e714d719 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:法蓮草 | 作成日時:2018年4月6日 21時