18話 ページ18
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「あ、でも全部の理由がいやいやだったわけじゃないよ」
哀れんでいた目を、きょとりと丸くした。
「なんで?バレー好きだった?」
「普通。体育の授業でやったことあるくらい」
多少の知識と多少の技術。
それだけしか持っていなかったけど、やろうと決めた、最後の決め手と言ってもいいもの。
「変わらなきゃって思ったから」
そう思わせてもらったから。
隣いる、この人に。
「うちのお姉ちゃん、なんかゆったりしてるでしょ」
「まぁ……まってAにとっては身内でも俺にとっては先輩だから頷きづらい」
「正直だね。まあだけど、結構気を回してくれてたんだなあって気づいて」
周囲に上手く馴染めない妹を、ひっそりと気遣ってくれた姉。
いい加減、ちゃんとしなきゃな。
守って貰うばっかじゃ、ダメだ。
そう気づけたのは、絶対に。
「赤葦のおかげだよ」
「え、俺?」
「そう。赤葦と会って、変わろうと思った」
俺なんかしたっけ、と眉を寄せ頬を掻く姿に、改めて凄いと思う。
前に私は凄いと言ってくれたけど、赤葦の方がよっぽど凄い。
最初のきっかけ、事の発端に、赤葦は関与していない。
中学の頃から引きずったいざこざだから。
でも赤葦に出会わなければ、私はきっとそれまでの私のままだった。
どうすべきかも、どうなればいいのかも分からず、知らないふりして流した。
けれど、出会った。この素敵な人に。
尊敬や憧れはあっという間に色を変えて私を塗りつぶしていく。
振り向いてもらえるなんて思ってない。
無理に隣に立とうなんて望まない。
望まないから、少しだけ。
名前で呼んでもらえたら。
毎日少しの会話が出来たら。
その優しさに、笑顔に、僅かでも触れられたら。
私を助けてくれたと言っても過言では無いくらいの赤葦と、胸を張って顔を合わせられるように。
まずはきちんと人とお話しよう。
部活は他学年とも関わりがあるし、やってみよう。
そう思ってマネを引き受けた。
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飛鳥(プロフ) - シェルファさん» コメントありがとうございます!お待たせしてしまい申し訳ありません今公開しました!引き続きよろしくお願いします! (2019年6月30日 15時) (レス) id: d93720a371 (このIDを非表示/違反報告)
シェルファ(プロフ) - あー、早く続編が見たいです! (2019年6月30日 11時) (レス) id: ed405ee373 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:飛鳥 | 作成日時:2019年5月4日 23時