検索窓
今日:1 hit、昨日:13 hit、合計:52,311 hit

18話 ページ18




「あ、でも全部の理由がいやいやだったわけじゃないよ」





哀れんでいた目を、きょとりと丸くした。





「なんで?バレー好きだった?」

「普通。体育の授業でやったことあるくらい」





多少の知識と多少の技術。

それだけしか持っていなかったけど、やろうと決めた、最後の決め手と言ってもいいもの。




「変わらなきゃって思ったから」




そう思わせてもらったから。

隣いる、この人に。





「うちのお姉ちゃん、なんかゆったりしてるでしょ」

「まぁ……まってAにとっては身内でも俺にとっては先輩だから頷きづらい」

「正直だね。まあだけど、結構気を回してくれてたんだなあって気づいて」





周囲に上手く馴染めない妹を、ひっそりと気遣ってくれた姉。


いい加減、ちゃんとしなきゃな。
守って貰うばっかじゃ、ダメだ。



そう気づけたのは、絶対に。





「赤葦のおかげだよ」

「え、俺?」

「そう。赤葦と会って、変わろうと思った」





俺なんかしたっけ、と眉を寄せ頬を掻く姿に、改めて凄いと思う。


前に私は凄いと言ってくれたけど、赤葦の方がよっぽど凄い。




最初のきっかけ、事の発端に、赤葦は関与していない。


中学の頃から引きずったいざこざだから。



でも赤葦に出会わなければ、私はきっとそれまでの私のままだった。

どうすべきかも、どうなればいいのかも分からず、知らないふりして流した。




けれど、出会った。この素敵な人に。


尊敬や憧れはあっという間に色を変えて私を塗りつぶしていく。



振り向いてもらえるなんて思ってない。

無理に隣に立とうなんて望まない。




望まないから、少しだけ。




名前で呼んでもらえたら。
毎日少しの会話が出来たら。

その優しさに、笑顔に、僅かでも触れられたら。



私を助けてくれたと言っても過言では無いくらいの赤葦と、胸を張って顔を合わせられるように。




まずはきちんと人とお話しよう。

部活は他学年とも関わりがあるし、やってみよう。



そう思ってマネを引き受けた。



19話→←17話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (54 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
132人がお気に入り
設定タグ:ハイキュー , 赤葦京治   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

飛鳥(プロフ) - シェルファさん» コメントありがとうございます!お待たせしてしまい申し訳ありません今公開しました!引き続きよろしくお願いします! (2019年6月30日 15時) (レス) id: d93720a371 (このIDを非表示/違反報告)
シェルファ(プロフ) - あー、早く続編が見たいです! (2019年6月30日 11時) (レス) id: ed405ee373 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:飛鳥 | 作成日時:2019年5月4日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。