吉原の救世主 ページ3
坂田side
「ねえ銀さん。あたし達はね、吉原(ここ)からお天道様拝めるようになって、もう満足さ。満足な、はずなんだ。
でもね。人ってね、我儘なものさ。あと一つ、どうしても欲しいものがある。取り戻して欲しいものがあるんだよ、銀さん。」
日輪も、後ろに居た月詠もどこか寂しげだった。晴太なんかは、顔を歪めて涙を流している。
あーあ、銀さんこんな辛気臭ェのは苦手なんだけどなぁ。
おいおい神楽、ぱっつぁん。テメー等もつられ泣きすんなよ。はあ、全くなぁ。
「で?その欲しいもんってのは何なんだよ。」
「…名前を、あたし達は知らない。ただ、きつねさんって呼んでる。あの人はね、黄金色の長い髪を一つに束ねて、髪と同じ色の羽織りを揺らすのさ。」
「何だソイツ、ただの女じゃ───────」
言いかけたら、クナイが飛んできた。言わずともそれは、俺の頭にいつも通り刺さる。
「きつねの坊はれっきとした男じゃ。」
そんなことも分からんのか。そう言って俺を見下ろすけどさあ!銀さんソイツと会ったことないから!分かんないから!
「その、きつねさんって今は何処にいるんですか?」
「ハア、これだから空気の読めない男は嫌アル。それが分かったら苦労しないネ。」
「なんか今日無駄にあたり強いね神楽ちゃん!!」
餓鬼は元気だよなぁ。ちったぁ大人を労われ。
そんなことを頭の隅で考える。クイッと、着物の裾を引っ張られた。
「銀さん、きっともう吉原にきつねさんは居ない。地上に居ると思うんだ。あの人は、一つの場所に長く居れない性分らしくてね。きっと、まだ宇宙には行ってない筈だから。
頼むよ、救世主様。」
煽てりゃ良いってもんじゃねーんだからな。でもまあ、仕方ねえ。
「…弾むぜ?依頼料。」
「きつねさんに会えるなら、それで良いさ。頼んだよ、銀さん。」
「しっかりやりなんし。」
▽▲▽
「で?何で着いてきたんだよ晴太!お前んとこの過保護だからテメーに何かあったら俺スゲー怒られんの!分かる?!」
ガクガクと揺さぶりながら叫ぶ。子供に容赦ねえって?んなもん知るか。
「お、おいらきつねの兄ちゃんが行きそうなところ知ってんだよ!ね、ね?連れってやるからよ!頼むよ銀さん!おいらにも手伝わせてよ!」
「良いじゃないですか銀さん。連れてって貰いましょうよ。」
「さっさと終わらせて、たらふく飯食うネ!」
はあ、仕方ねえな。
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あきな(プロフ) - 面白いです!更新大変だと思いますが頑張って下さい!!応援してます!!! (2017年9月29日 21時) (レス) id: a03d3f2ed8 (このIDを非表示/違反報告)
空白 - 俺こうゆうの超好き!!!!!! (2016年6月18日 0時) (レス) id: 46538a2eea (このIDを非表示/違反報告)
夏凛 - めっちゃ面白いです! (2016年4月12日 1時) (レス) id: b1b68a76c0 (このIDを非表示/違反報告)
レイ - え?終わり?そんなわけないですよね!更新頑張ってください! (2016年3月31日 15時) (レス) id: 131cdd29b3 (このIDを非表示/違反報告)
潮音(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!!更新頑張ってください!応援してます! (2015年11月8日 19時) (レス) id: 05ac5cb1f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:とまと侍 | 作成日時:2015年10月21日 1時